神経学的所見
「神経学的所見」
1.
問診
(1)性・年齢・職業
(2)利き手:失語症の局在診断
(3)症状経過
(4)家族歴・遺伝性
(5)既往歴
(6)社会歴
2.
高次脳機能
見当識障害:time, name, place, person
失語・失行・失認
3.
脳神経(Cranial nerves)
(1)嗅球
(2)視神経
(3)動眼・滑車・外転神経
(4)三叉神経
(5)顔面神経
(6)内耳神経
(7)舌咽神経
(8)迷走神経
(9)副神経
(10)舌下神経
4.
運動機能
(1)錐体路障害
・Barre徴候
上肢の不全麻痺を見る。
麻痺側では上肢は回内(pronation)し、下に落ちる(drop)
*急速に落下する場合はむしろヒステリーを考える。
・Minngazzini徴候
目を閉じた状態で膝関節を90度屈曲させて保持させる。
錐体路障害があれば下肢は落ちる(drop)
①
僧帽筋(Trapezius: C4)
肩を上げる動作
②
三角筋(Deltoid: C5)
上肢を外転挙上する動作
③
上腕二頭筋 (Biceps Brachii: C5)
前腕を胸につける動作
④
橈側/尺側手根伸筋 (Wrist
Extensor: C6 radial nerve, ulnar nerve)
手首を背屈させる動作
⑤
上腕三頭筋 (Triceps Brachii: C7)
前腕を胸から離す動作
⑥
浅指屈筋 (Flexor digitorum superficialis: C8)
近位指関節で屈曲させる動作
⑥背側骨間筋(Dorsal Interossei: Th1)
指を広げる動作
⑦
腸腰筋(Iliopsoas: L2)
膝を上げる動作
⑧
大腿四頭筋(Quadriceps Femoris: L3)
足を前に蹴り出す動作
⑨
前脛骨筋 (Tibialis Anterior: L4)
足を背屈させる動作
⑩
大臀筋 (Gluteus Maximus: L5)
腹臥位で大腿を上に上げる動作
⑪
大腿屈筋(Hamstrings: L5)
膝を屈曲させる動作
⑫
腓腹筋/ヒラメ筋
(Gastrocnemius/Soleus: S1)
アクセルを踏み込む動作
(2)姿勢 Posture
パーキンソン病(PD): Stooped posture
脳血管障害後の痙性片麻痺:Wernicke-Mann posture
(3)筋肉
①
筋萎縮(atrophy)
近位筋優位(proximal): 筋原生萎縮(筋ジストロフィー、多発筋炎etc.)
遠位筋優位(distal): 神経原生萎縮(ALS etc.)
②
自発収縮:繊維束性収縮 Fasciculation
末梢神経障害による神経再支配によって生じる。筋萎縮を伴う。
ハンマーで軽く叩くことで誘発される。
*疲労等でも生じうるため、他の徴候を伴わない場合は有意とは言えない。
③
筋強直 myotonia
叩打性筋強直(percussion myotonia):母指球筋の叩打にて母指が内転
把握性筋強直(grip myotonia):把握の後に指示しても開けない
→筋強直性ジストロフィーなど
④
筋緊張亢進 hypertonia
・痙縮(spasticity)
錐体路障害(上位運動ニューロン)障害による。
急激な受動運動に対して抵抗を示す。
ある程度まで動かすと急に抵抗が減ずる(clasp-knife phenomenon)
・硬直/固縮(rigidity)
錐体外路障害による
主にパーキンソン病(PD)で認める。
*PDのrigidity:上肢はcogwheel rigidity, 下肢はlead-pipe rigidity優位
・抵抗症(Gegenhalten)
患者の注意が他に向けられていると筋の抵抗はないが、力を抜くように指示すると無意識に力が入る現象。広範囲脳障害(認知症・意識障害)が原因。
⑤
項部筋緊張亢進
→項部硬直
髄膜刺激症状の一。
項部硬直では前屈位でのみ抵抗がある。
Rigidityでは全方向に抵抗がある。
⑥
ウエストファル現象(Westphal phenomenon)
他動的に患者の足関節を、回外・背屈させると、本来ならば前脛骨筋が弛緩するはずだが、錐体外路障害があると前脛骨筋が逆説的に収縮し、腱が隆起する。
(逆説性収縮)PDの下肢rigidityの早期発見に有用である。
(4)受動運動による徴候
①
Kerning sign
膝が135度以上伸展しない。
髄膜刺激症状の一
②
Brudzinski sign
頸部を他動的に屈曲させると股・膝関節が屈曲する。
③
Lasegue sign
下肢挙上し70度以下で疼痛を自覚する。
椎間板ヘルニア・座骨神経痛・後根疾患で陽性となる。
*疼痛を自覚した角度を記載する。 Ex: Lasegue (+) 40度
④
Lhermitte sign
頸部を受動的に前屈させると背部に疼痛が走る。
MSできたす。
(5)歩行障害
①
痙性片麻痺歩行(spastic hemiplegic gait)
脳血管障害による片麻痺
②
痙性対麻痺歩行(spastic paraplegic gait)
家族性痙性対麻痺や脳性麻痺、脳血管障害による対麻痺など
③
運動失調性歩行(ataxic gait)
継足歩行(tandem)が不可能になる
小脳失調など
④
鶏歩(steppage gait)
垂れ足(drop foot)の代償に足を高くあげて歩く
腓骨神経麻痺など
⑤
パーキンソン歩行
小刻み歩行(small step)やすくみ足(frozen gait)をきたす。
PDなど
(5)起立時の試験
①
Push test
PDの後方突進現象(retropulsion)を評価する。
②
Romberg test
深部感覚障害があると閉眼させて両足を揃えて起立させると、バランスを崩す。
③
Mann test
Tandemの状態で閉眼させる。
Romberg試験より感度が高い。
*洗顔現象(basin phenomenon): 洗顔中は目を瞑るためバランス障害をきたす。深部感覚障害を示す所見。
5.
反射
錐体路障害を示す反射所見
→腱反射亢進・表在反射の消失・病的反射の出現
もっとも確実な所見は病的反射の出現
(1)深部腱反射(Deep tendon reflex: DTR)
* 下顎反射は三叉神経上位ニューロンの障害を示唆する。
* クローヌス(Clonus)
急に足関節を背屈させると下腿三頭筋の間代性痙攣をきたす。
腱反射亢進と同意義であり、錐体路障害を考える。
(2)表在反射
錐体路障害を考える所見。
→腹壁反射(Th5-L2)
腹壁をこすると臍が刺激側へ偏奇する
(3)病的反射(Pathologic Reflex)
①
吸引反射(sucking reflex)
②
口尖らし反射
③
ホフマン反射
④
トレムナー反射
⑤
手掌頤反射
⑥
バビンスキー反射
⑦
チャドック反射
6.
感覚障害
(1)表在感覚
→神経分布
(2)深部感覚
①
位置覚(Position)
上肢:中指のMP・PIP関節を90度に屈曲させ指が上か下かを答えさせる。
下肢:第2趾または第3趾を上か下かを答えさせる
sensory ataxiaの原因となる。
②
振動覚(vibration)
DMで低下
7.
失調
Finger to nose: 指鼻指試験
失調でdecomposition(運動分解)やoscillation(ゆれる)
Heel to knee: 膝かかと試験
失調でdecomposition(運動分解)やoscillation(ゆれる)
Diadochokinesis 手の回内回外
失調でpolyaxial(多軸性)
8.
髄膜刺激徴候
一番感度が高いのはjolt accentuation
首を振って頭痛が増強されなければほぼ否定的
特異度はかなり低いので注意
そのたneck stiffness, kerning, bruzinskiなど
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