投稿

7月, 2016の投稿を表示しています

[B6] 認知症治療ガイドライン 抗認知症薬の簡単な使い分け

【認知症 : dementia 】 [ 分類 ] AD, DLB, 脳血管性認知症 , FTLD [ 検査 ] MMSE: 23pts 以下を認知症の疑い HDS-R: 20pts 以下を認知症の疑い より詳細な評価として ADAS-JCOG がある。 [ 認知症治療薬 ] 1. ChE 阻害薬 (1) donepezil: アリセプト 対象: AD, DLB (MMSE 5-22) 用法: 3 → 5 → 10mg/day と増量。 代謝:肝代謝 副作用:消化器症状・易怒性 / 興奮・心血管症状(不整脈・高血圧) (2) galantamine: レミニール 対象: AD, Vascular dementia(MMSE 10-22) 用法: 4 → 8mg/day と増量。 代謝:肝・腎代謝 副作用:消化器症状・易怒性 / 興奮・心血管症状(不整脈・高血圧) (3) rivastigmine: イクセロンパッチ 対象: AD,PDD(MMSE 10-20)   用法: 4.5mg から開始。 1 月ごとに 4.5mg づつ up 。維持量 18mg/day 。 代謝:肝代謝 副作用:消化器症状・易怒性 / 興奮・心血管症状(不整脈・高血圧) 2. NMDA 受容体拮抗薬 memantine: メマリー 対象: AD(MMSE 5-14) 用法: 5mg/day から開始し、 5mg ずつ up 。最大 20mg/day 。 代謝:腎排泄 副作用:傾眠・めまい *   ChE 阻害薬の症状改善は 3 か月をピークとするため、内服開始から 3 か月経過しても症状改善が得られない場合には内服薬の変更を検討する。 *   使い分け ChE 阻害薬は興奮と消化器症状が、メマンチンは眠気の副作用が出やすい。 うつ傾向であれば ChE から、興奮があればメマンチンから開始する。 ChE 阻害薬ではドネペジル > リバスチグミン > ガランタミンの順で興奮強い。 内服コンプライアンスの面では1日1回のドネペジルが優れる。 嚥下機能障害がある場合には貼付剤であるリバスチグミンが良い適応になる。 腎機能障害があ

[B6] 進行性核上性麻痺(PSP) ガイドライン

【進行性核上性麻痺】 [ 疫学 ] 10 万人あたり 6 人程度 [ 症状 ] 歩行障害で発症し、2年以内に易転倒をきたす。 歩行障害: broad base 垂直性核上性眼球運動障害:人形の目現象陽性 Parkinsonism :仮面様顔貌、 small voice 、嚥下障害、 akinesia [ 病型 ] [ 検査所見 ] (1) 一般検査所見:なし (2) 画像検査所見: MRI 上中脳被蓋の萎縮・第三脳室の拡大                                    → humming bird sign [ 鑑別 ] PD ・ MSA: broad based gait, 後頸部 rigidity, MIBG, L-dopa への反応性 [ 診断基準 ] 1. 厚生労働省の診断基準 主要項目 (1)40 歳以降で発症し、緩徐進行性 (2) 主要徴候 ①垂直性核上性眼球運動障害 ②発症早期( -2 年)から歩行不安定性・易転倒性を認める。 ③対称性の無動・固縮が四肢よりも体幹・頸部に優位 (3) その他の徴候 ①進行性の構音障害・嚥下障害 ②前頭葉性の進行性認知機能障害 (4) 画像所見 中脳被蓋の萎縮・第三脳室の拡大・脳幹の萎縮 (5) 除外項目 ① L-dopa が有効 ②初期からの高度自律神経障害 ③多発性ニューロパチー ④失行・皮質性感覚障害・他人の手徴候・症状の著しい左右差 ⑤脳血管障害・脳炎・外傷などの否定。 (1) 及び (2) の 2 項目以上または (2) の1項目 +(3) の1項目以上で (5) を認めない 2. 国際ワークショップの診断基準 definite: 病理診断 probable: 緩徐進行性・ 40 歳以降発症・垂直性眼球運動障害・ 1 年以内の易転倒 probable の必須条件をすべて満たした時感度 100%, 特異度 50% [ 治療 ] PD に準じて行うが、一般的に反応性は不良。 L-dopa, amantadine は試すべきである。

[B6] 抗パーキンソン病薬の簡単な使い分け

【抗パーキンソン病薬の簡単な使い分け】 1. 抗パーキンソン病薬の基本 (1)L-dopa/DCI L-dopa の補充。最も基本となる薬剤。 L-dopa/carbidopa: メネシット・ネオドパストン・カルコーパ・レプリントン L-dopa/benserazide: EC ドパール・マドパー 副作用:悪心・食思不振 *   L-dopa/benserazide の方が薬理作用が強いため、消化器症状・ dyskinesia などの副作用が発現しやすい。 (2)L-dopa 代謝阻害薬 ① COMT 阻害薬 entacapone :コムタン 半減期が短く L-dopa と一緒に内服。 副作用:消化器症状 * L-dopa/DCI と COMT 阻害薬の合剤がスタレボ ② MAO-B 阻害薬 selegiline: エフピー 半減期が長く1日 1-2 回の内服(朝 or 朝昼) 副作用: hallucination, dyskinesia, OH →認知症患者には使いづらい。 抗うつ薬との併用でセロトニン症候群 (3) dopamine agonist ①速攻型 pramipexole :ビ・シフロール ropinirole: レキップ錠 ②徐放錠 pramipexole :ミラペックス LA ropinirole :レキップ CR ③貼付剤 rotigotine :ニュープロパッチ 副作用:日中の眠気 (3) その他 ① zonisamide :トレリーフ wearing off の改善に用いる。 25mg/day から開始し 50mg/day まで。 副作用:ほとんどない。眠気・食思不振・ dyskinesia など ② amantadine :シンメトリル dyskinesia に対して有効である。 (8 か月まで ) 歩行障害や PDD に効果があると言われている。 副作用:ミオクローヌス・意識障害・眠気・睡眠障害 ③ istradefylline :ノウリアスト アデノシン A2R 拮抗薬で従来薬と異なる機序を持つ。 Wearing off の改善に用いられる。 副作用: