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CADASILのガイドライン

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【 CADASIL 】 = Cerebral Autosomal Dominant Arteriopa- thy with Subcortical Infarct and Leukoencephalopathy 皮質下梗塞と白質脳症を主徴とし、病理学的には血管平滑筋基底部における GOM の沈着を特徴とする常染色体優性疾患。 [ 疫学 ] 平均発症年齢は 45 歳 2-30 代から片頭痛が前兆として見られる場合がある。 平均罹患期間は 22 年 平均死亡年齢は 65 歳 経過中に約 20% が抑うつなど情動異常をきたす。 [ 病態 ] Notch3 遺伝子を原因遺伝子とする脳の細小動脈を始めとする全身の血管平滑筋基底膜部の GOM の沈着。 *   GOM: Granular Osmophilic Material GOM の沈着自体が血管平滑筋の変性・崩壊を引き起こすとされている。 [ 症状 ] 初発症状としては脳虚血発作・ TIA が最多( 45% ) ついでめまい、片頭痛、うつなどを呈する。 60 歳を超えると進行性の認知機能障害や球麻痺を呈する。 [ 検査 ] MRI が有効。 基底核、視床、深部白質に T2/FLAIR HIA, T1 LIA を呈する。 白質には融合性の高信号域 (leukoariosis) を認める。 前頭葉極、側頭葉極、側脳室周囲に顕著である。 *   SSLs ラクナ梗塞が白質と灰白質の境界に生じる。 比較的 CADASIL に特異的とされる。 Thin slice FLAIR で検出される。 [ 診断 ] *   CADASIL の診断基準 1 *   CADASIL の診断基準 確定診断は遺伝子検査、病理でされる。 [ 治療 ] 高血小板治療が一般的である。 ただし、脳出血のリスクがあり注意が必要。 塩酸ロレミジンで脳血流や高次脳機能の改善を認めたという報告がある。 (Mizuno T. Clin Neuropharmacol 2009;32: 113-116.) ドネペジルで認知機能の改善を認めたという報告がある。

封入体筋炎 ガイドライン

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【封入体筋炎】 中年以降に発症し、緩徐進行性の病理学的には縁取り空胞という比較的特異度の高い所見を呈する炎症性ミオパチーの一。 [ 疫学 ] 100 万人あたり約 10 人 50 代以降で発症。孤発性である。 [ 原因 ] 不明である。 近年 VPC 遺伝子異常が発見され病態解明が望まれる。 (Watts D. Nat Genet 2004:36;377-381) ・   自己免疫疾患という説 自己免疫疾患の合併率が高い。 抗 cN1A 抗体という自己抗体が関与するという報告がある。 (Pluk H. Ann Neurol 2013:73;397-407) ・   変性疾患という説 筋繊維内に A βやリン酸タウ、αシヌクレイン、 TDP-43 などの蓄積を認める。 [ 症状 ] 筋力低下 →特に大腿四頭筋、深指屈筋に強いとされる。 →階段昇降困難、 Gower’s sign 陽性、ペットボトル開閉困難などの症状 *   筋力低下は時に非対称性である。 *   深部腱反射は正常〜やや低下である。 *   嚥下障害は 1/4 に認める。 *   悪性腫瘍との明らかな関係性は示されていない。 *   約 20% で HTLV-1 や HCV との合併が示されている。 *   約 15% で自己免疫疾患を合併する。特に SjS が高率である。 (7-12%) [ 所見 ] (1) 血液検査 CK 上昇:大半が軽度上昇に止まる。 2000 以上は稀。 約 20% で抗核抗体が陽性となる。 (2)MRI 萎縮筋に STIR HIA を認める。 (3) 神経伝導速度検査 約 30% で感覚繊維の障害を認める。 (4) 針筋電図検査 筋原性変化と神経原生変化を認める。 (5) 筋生検 壊死繊維への単核球の浸潤 縁取り空胞 が特徴とされる。 [ 鑑別 ] 縁取り空胞を認めるという点で、 ・   肢体型筋ジストロフィー (1A, 2J) ・   眼咽頭型筋ジストロフィー ・   Welander 型ミオパチー ・   Becker 型筋ジストロフィー が鑑別