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2月, 2017の投稿を表示しています

【Dementia with Lewy body(DLB):レヴィー小体型認知症】

【 Dementia with Lewy body(DLB): レヴィー小体型認知症】 進行性認知機能障害に加えて、パーキンソン症状や幻視、自律神経症状などを認める。大脳皮質や脳幹・自律神経系などびまん性に Lewy body が蓄積する疾患。 PD(Parkinson’s disease) や PDD(Parkinson’s disease with dementia) とともに Lewy Body disease と称される。 [ 病型 ] common form : AD 病理を合併 pure form : DLB のみの病理 (Kosaka K. J Neurol 1990;37 (3):197-204) [ 治療 ] ChEI( コリンエステラーゼ阻害薬が用いられる ) → donepezil( アリセプト ) 、 rivastigmine( イクセロン ) 、 galantamine( レミニール ) Ach 起始核(マイネルト基底核・中隔核など)の変性・脱落が AD より強い (Perry EK. Neuroreport 1994; 5(7):747-749) Ach 合成酵素の活性が AD よりも低い。 (Tiraboshi P. Neurology 2000;54(2):407-411) 側頭葉皮質のムスカリン受容体の脱落が AD よりも少ない (Ballard C. Ann Neurol 2000;48(6):868-876) → AD よりも ChEI が効果的である可能性が示唆されている。 ChEI はパーキンソニズムを悪化させない。 (Mori E. Ann Neurol ) Memantine の使用で優位に認知機能が改善した。 (Aarsland D. Lancet 2009 , 8(7):613-618) [BPSD に対する治療 ] BPSD を来す薬剤の中止:抗コリン薬、アマンタジン、ドパミン作動薬 ChEI/memantine の導入    病初期にはアリセプトまたはレミニールが選択される  レミニールは Ch だけではなく dopa や Ser も増やし BPSD に良い   Pism を有する患者

[Transient Myoclonus State with Asterixis in Elderly Person (TMA)] 高齢者の羽ばたき振戦を伴う一過性ミオクローヌス

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[Transient Myoclonus State with Asterixis in Elderly Person (TMA)] 高齢者の羽ばたき振戦を伴う一過性ミオクローヌス状態 高齢者に突然発症の多巣性ミオクローヌスとして水谷らが最初に発表。 ( 水谷智彦 . 臨床神経 1986;26:1042-1046) その後橋本らにより臨床的特徴が示された。 ・慢性疾患を有する高齢者に生じやすい ・急性発症で徐々に増悪 ・頸部や上肢に強い myoclonus を呈し、運動により増強。 ・自発的な myoclonus に加えて asterixis( 固定姿勢保持困難 ) を認める ・意識減損は伴わない ・眼球運動は正常 ・自律神経障害や失調は伴わない ・数日以内に軽快し、後遺症を残さない ・ジアゼパムやクロナゼパムが有効である ・症状改善後には治療を要さない ・発作の原因は明らかではない。感染が契機になることがある。 ・再発をきたすこともある ・脳波では特記すべき所見を認めない (Hashilnoto S. J Neurol Sci 1992;109(2):132-139) [ 臨床症状 ] 「ふるえ」と表現される不随意運動 ・   身震い様:間欠的に群発する運動 ・   振戦様:比較的規則的で持続性のある運動 頸部や四肢の身震い様運動 (myoclonus) 手指の羽ばたき振戦 (asterixis or flapping tremor ) [ 検査 ] 急性感染症の除外 血液検査:代謝性疾患の除外 ・   TMA 患者の表面筋電図 原因は未だ不明であるが、急性発症で予後良好な不随意運動として心に留めておく必要がある。 [外来でミオクローヌスを呈している患者を見たら] 血液検査・頭部画像で二次性のミオクローヌスを否定 →疲労や脱水など誘引あればTMAを考える リボトリールで経過観察 2018年度研修医が絶対買うべき教科書ランキング ベスト5 

糖尿病と動脈硬化【Glucose spikeと動脈硬化】

【 Glucose spike と動脈硬化】 DM は動脈硬化のリスク因子である。 Framingham Study では DM 患者の冠動脈疾患発症率は 4.05 倍、脳血管イベントの発症率は 3.08 倍であった。 (Garcia MF. Diabetes 1974;23:105-111) DM によって動脈硬化をきたす機序としては高血糖自体に加えて、インスリン抵抗性、高血圧、脂質異常症などの影響が考えられているが、中でも食後高血糖の影響が重要視されている。 DECODE 研究では 75gOGTT2 時間値は心血管死や全死亡の独立した危険因子である可能性が示唆されている。 (The DECODE study group. Lancet 1999;21:617-621) 血糖の日内変動の最大差 (Glucose spike) は持続的な高血糖よりも動脈硬化を促進させる可能性が示されている。 (Temelkova-Kurktschiev TS. Diabetes Care 2000;23:1830-183) IMT は動脈硬化発症の予知因子とされている。 (Lorenz MW. Circulation 2007;115:459-467) 75gOGTT 2 時間値と IMT 上昇の関連が示されている。 (Bonora E. Diabetologia 2000;43:156-164) Glucose spike は IMT と有意な関連を示した。 HbA1c や mBG と IMT には有意な関連は示されず、 glucose spike が独立した動脈硬化の促進因子である可能性が示されている。 ( 加藤浩之 . 日本臨床生理学会誌 2011;41(6):198-202) 神経内科の勉強方 おすすめの教科書はこちら 研修医/内科医が読むべき本はこちら