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1月, 2017の投稿を表示しています

CVカテーテル(中心静脈カテーテル)の挿入

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【 CV カテーテルの挿入】 目的:中心静脈栄養、透析・血漿交換など 挿入部位 1. 内頸静脈 : 邪魔になる。自己抜去のリスク。 ( 感染が少ない? ) 2. 大腿静脈 : 入れると歩けない。 DVT ・感染のリスク。 3. 鎖骨下静脈:気胸のリスク。今は使わない。 *内頸静脈 vs 大腿静脈 大腿静脈の方が感染リスクが高いとされている。 ( 吉久保拓 . 透析会誌 2007;40(7):603-608) しかし、本論文では大腿静脈を選択される患者は重症度が高く、感染リスクが高い傾向があり、本当かどうかはわからないとされている。 清潔ケアをしっかりすれば感染リスクは上がらない。 (Kirkpatrick WG. Nephron 1996;73:58-62) 大腿と内頸で感染リスクは変わらない。 (Marik, Paul. Critical Care Med 2012:40(8):2479-2485) という報告もある。 いずれにせよ、大腿静脈を選択すると ADL が低下するためできる限り内頸静脈を選択したい。 [ 手技 ] 現在はエコーガイド下穿刺が推奨されている。 世の中には様々な CV の本があるみたいだ。 正直な所、エコーで見えている血管を刺すだけなので末梢ルートよりも簡単。 エコーガイド下穿刺で失敗している人は見たことがない。 (1) 消毒 (2) 滅菌手袋をつける (3) オイフをかける (4) 全ての管に生食 or へパ生を通す (5) 局麻 (6) エコーで見ながら穿刺 (7) 外套を残す ←ここまで普通のルートキープと変わらない (8) ガイドワイヤーを通して外套を抜く (9) ダイレーターで穴を広げる (10)CV カテーテルを入れて終了 [ 挿入の確認 ] まずいのは動脈を穿刺していた時。 (1) 血液の色 (2) 血液ガス (3) 挿入位置をレントゲンで確認

低血糖脳症

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【低血糖脳症】 低血糖症とは BS<60mg/dl で神経症状をきたす状態 (Cyper PE. J Clin Invest 2007;117:868-870) グルコース投与により症状が改善しない重篤なものを低血糖脳症と呼ぶ。 ( 谷川敬一郎 . 糖尿病 2010;53:48) 低血糖脳症の予後不良因子として ①来院時の血糖低値の程度 ②低血糖の持続時間 が挙げられ、体温低下や乳酸値の上昇は保護的に作用している。 錐体路を中心とした白質病変は予後良好と報告されている。 (Lo L. AJNR Am Neuroradiol 2006;1655-1656) [ 低血糖脳症の症状 ] 意識障害から麻痺まで様々である。 脳卒中様の片麻痺も報告されている。 左右非対称性の原因として代謝要素と組織的要素 ( 細胞が密な方が脆弱 ) がある。 (Lee SH. J Clin Neurol 2010;6:104-108) [ 低血糖脳症の頭部 MRI 所見 ] ①血管支配と無関係 ②様々な病変をきたしうる ③脳幹・小脳は障害されない (Jung SL. J Neuroimaging 2005;15:193-196) *   低血糖脳症で DWI HIA を呈することが診断に有用と報告されている。 (Botther J. Stroke 2005;36:e20-e22) →機序としては ・グルコース枯渇に伴う代謝異常 ・細胞膜 ion pump の異常による細胞浮腫 が考えられている。 (Hasegawa Y. Stroke 1996;27:1648-1655) 神経内科の勉強方 おすすめの教科書はこちら 研修医/内科医が読むべき本はこちら

診察でよく使う筋肉

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< 診察でよく使う筋肉 > 上肢 [U/E] *   Froment 徴候 (adductor pollicis) 紙を母指と示指で挟み引っ張ると障害速の母指が起立する。 下肢 [L/E] 神経内科の勉強方 おすすめの教科書はこちら 研修医/内科医が読むべき本はこちら

神経サルコイドーシス

神経サルコイドーシス サルコイドース症例の5-10%に見られる。 症例の40%は肺・眼などに症状あり、診断がついている 【症状】 亜急性・進行性の経過を呈する。 頭痛・視力障害・痙攣・福祉・しびれ・異常感覚など多彩な症状を呈する。 【MRI】 脳:硬膜に造影効果を呈する腫瘤を認める。 脊髄:頸髄・上部胸髄にT1 low, T2 highの腫瘤性病変 脊髄は腫大する。 造影により、硬膜の高信号と髄内斑状・線状高信号を呈する。 1. ANCA関連血管炎 中枢神経合併症は10%程度 比較的若年者の脳出血・脳梗塞・非感染性の造影剤髄膜増強効果 2. CLIPPERS 3. Chronic lymphocytic inflammation with pontine perivascular enhancement responsive to steroids(CLIPPERS)は 2010 年にPittockらが提唱した脳幹を病変の主座とする炎症性中枢神経疾患である。眩暈や小脳性運動失調、意識障害などの脳幹症状を生じ、MRI で橋を中心に脳幹に造影効果を有する点状の散布性病変を示し、病理所見では血管周囲へのT細胞を主体とする細胞浸潤がみとめられ、ステロイド反応性を示すも減量により再燃することが特徴である。 4. 本症例は、MRI画像所見に加え血管性浮腫による高度の脳幹浮腫を呈した CLIPPERS症候群報告した。 神経内科の勉強方 おすすめの教科書はこちら 研修医/内科医が読むべき本はこちら

プリオン病 Case 27-2005: An 80-Year-Old Man with Fatigue, Unsteady Gait, and Confusion

Case 27-2005: An 80-Year-Old Man with Fatigue , Unsteady Gait , and Confusion [ presentation of case ] 4 週間前まで元気に生活していた 80 歳の男性が、不安定歩行、易疲労感、錯乱、不眠、頻回な欠伸を主訴として入院した。入院3週間前に近医を受診したが、身体診察および一般的な血液検査の結果は正常範囲内であった。頭頸部造影 CT では脳室高吸収及び脳室周囲の低吸収、左尾状核に陳旧性ラクナ梗塞、脳血管にアテローム性動脈硬化を伴った、びまん性脳萎縮の所見であった。心電図は HR51 で正常範囲内であった。入院 10 日前に施行された経眼窩的ドップラー検査では左内頸動脈及び右頸動脈分岐部に微小な病変を認めたのみであった。 直近の夏にケープコッドを訪れた際にマダニにかまれた。 ここ数年でフランス・イギリスに訪れている。 既往歴としては、高血圧・高脂血症・動脈硬化。 小児期にリウマチ熱に罹患している。 20 年前に TIA の既往があるが、現在は症状なし。戦争を契機に慢性の聴力低下、筋力障害、感覚障害を来している。右内眼角の基底細胞がん に対して放射線治療をうけた。右目白内障に対してレンズ挿入術を施行されている。 患者の父は心血管障害で 80 歳の時に死亡している。母の死因は不明。兄弟のひとりは悪性リンパ腫に罹患しているが、生存。姉妹の一人は統合失調症、その他の兄弟姉妹には特記すべき事項なし。二人の息子にも特記すべき事項なし。 本人は未亡人・独居。 セミリタイアしたビジネスマン。 アルコール:1 −2 缶 / 日 タバコ:だいぶ前にやめた 内服薬:アスピリン アルトバスタチン リシノプリル( ACEI ) マルチビタミン 血圧 147/81mmHg , HR 61 , RR 18 , BT 36.3 ℃, SpO2 98% 胸骨右上縁にⅠ / Ⅵ 度の収縮期駆出性雑音を聴取。 患者は直線上歩行が困難であった。 その他一般的な身体診察は正常であった。 神経内科の報告によると、患者の意識ははっきりしており、見当識は保たれ、錯乱状態はみられなかった。 検査に

[研修医必須項目] 外科

胸腔鏡下右肺部分切除 Ⅰ.臨床経過及び検査所見 【症例】 ● 歳 女 性 【主訴】 呼吸困難 【現病歴】   ● 年に両ソケイ部痛を自覚し他院にて精査したところ、後腹膜~骨盤内に多発嚢胞を認め、若年女性であることからもリンパ脈管筋腫症 (LAM) が疑われ、当院呼吸器内科を紹介受診となった。臨床症状より LAM と診断され経過観察としていたが、●年より呼吸困難を認め、翌日夕方より症状が増悪したため救急要請となった。当院到着時、酸素マスク 6L/ 分投与にて SpO2 92% と低酸素血症であり、さらに胸部単純 X 線にて右肺のⅢ度気胸でありトロッカーを挿入し、呼吸器内科に緊急入院となった。 【既往歴】 パニック障害 【家族歴】 両親:パニック障害 【嗜好歴】 喫煙: なし 飲酒:なし 【アレルギー】 特記事項なし 【入院後経過】   呼吸器内科にて保存的治療を行ったものの経過中に左気胸を認めるようになり、左胸 腔 にもドレーンを留置したものの改善しないため呼吸器外科にて手術を行う方針となった。入院後 14 日目に右ブラに対し胸 腔 鏡下右肺部分切除 + 気ろう閉鎖術を施行した。麻酔導入後、気管挿管前に陽圧換気中の緊張性気胸予防・乳び胸に対するドレナージの目的で、左第 2 肋間より 24Fr ダブルルーメントロッカーを 10cm 挿入した。そして術前より挿入されていたドレーンを抜去しカメラで観察したところ、胸 腔 内には灰緑色に濁った胸水が貯留し、フィブリンが析出していた。下葉の葉間面縁に 2cm 大の白色ブラを 2 個認め、中葉の葉間面縁にも 2cm 大の白色ブラを認めた。その他、胸膜表面の発赤、無茎性のブラが多発しており、 LAM として矛盾しない所見であった。 胸 腔 内を合計 1200ml で洗浄し、リークテストを数回施行したが、明らかなリークポイントは認めず、前述のブラを切除し、胸膜補強を施行した。 24Fr ダブルルーメントロッカーを右肺尖に向けて第 6 肋間前腋窩線上の孔より留置し手術を終了とした。出血量 5ml 、手術時間は 59 分であった。術後経過は良好であり、気胸の拡大は認められず、術後 2 日目に左ドレーンを抜去、さらに術