カルテの記載方法

神経内科のカルテを例にカルテの記載方法をお示しします。

#→現在のプロブレム
  脳梗塞ならいつ発症か、PDならYahrいくつか記載するようにしてください。
  発熱など新規プロブレムが出現したら適宜変更してください。

S→主訴。患者さんの訴えを書いてください。

Ovital signs (落ち着いていればstableでも構いません。)
現在の食事内容・食事摂取量・in/out(点滴や尿量)・便がでているか・血糖値(測定していれば)
一般身体所見:眼・首・胸部聴診・腹部所見・四肢浮腫や皮疹は毎日見るようにしてください。
神経学的所見:意識・その他疾患に合わせて記載してください。
(脳梗塞なら麻痺の程度、パーキンソン病ならUPDRS、認知症ならMMSE, HDS-R
なるべく客観的な指標を用いるようにしてください。

A→プロブレムごとにアセスメント・プランをかくようにしてください。

P→次回検査日や結果待ちの検査など書くようにしてください。

記載例) あくまでも一例です。実際の患者さんのデータではありません。

#1 脳梗塞(4/1 RtMCA Lt麻痺) 
#2 発熱(4/7-
#3 2型糖尿病

S だるいです

O: vital sigs BT 38.6, HR 102, BP 130/70, SpO2 99(RA)
常食1800kcal 塩分6g 
appetite 10/10-10/10-10/10
in ラジカット 30mg + PSS 100ml x2回 
out Hr 1500ml/day
stool 4/7 (毎日)
medication: アスピリン 200mg/day, ジャヌビア 50mg 1T1x
BS        
4/5 110-129-151-111
4/6 109-121-187-126
4/7 98-127

・身体所見
眼瞼結膜貧血なし、頸部リンパ節主張なし、頸動脈血管雑音なし
胸部聴診上呼吸音右下肺野でcourse crackles聴取・心音整
腹部平坦・軟・腸蠕動音正常・腹膜刺激兆候なし
四肢浮腫なし 皮疹なし

・神経学的所見
意識清明 E4V5M6  見当識障害なし。
左上肢Barre兆候: 回内・落下あり
MMT: biceps 5/3, triceps 5/3, ext carp rad 5/3, flex carpi ul 5/3, dorsal interossei 5/3
深部腱反射:biceps +/++, triceps +/++, brachioradialis +/++
NIHSS 1point (左上肢Barre), mRS 3, Brunnstrom stage 

A:
#1 脳梗塞(4/1 RtMCA Lt麻痺) 
41日発症の右MCA領域の脳梗塞。
現時点ではetiology不明のためアスピリン 200mg/dayで加療中
入院時左上肢MMT 2であり経過良好
今後はetiology検索のためHolter心電図・経食道心エコー・ABIを施行する予定。

#2 発熱(4/7-
本日朝BT38.6度の発熱あり、身体所見から肺炎を第一に考える。
誤嚥性肺炎の可能性を考慮して絶食としfever work-up行い、ABPC/SBT 3g p12hrsで開始。
2週間を目処に抗菌薬を投与する。培養の結果が出たらde-escalationを行う。

#3 2型糖尿病
ジャヌビア内服で経過良好。絶食中は中止とする。

P:本日血液検査・胸部レントゲン検査・血液//尿培養検査施行
49日血液検査 レントゲン検査
今後は回復期リハビリ病院への転院。MSWと調整を。

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