【筋強直性疾患 Isaacs症候群とStiff-person症候群
【筋強直性疾患 Isaacs症候群とStiff-person症候群】
どちらも筋強直を主体とする自己免疫疾患だが、中枢神経疾患と末梢神経症
1. Isaacs症候群 アイザックス症候群
抗VGKC複合体抗体による末梢神経障害が主体とされる。
持続性の四肢体幹の筋痙攣、myokimia, neuromyotoniaを特徴とする。
抗VGKC複合体抗体により血液神経関門の脆弱な神経終末や神経根が攻撃され、末梢神経の過剰興奮性をきたすことによって生じる。
二価の抗体と2個のチャネル蛋白との架橋によりチャネルの内在化が生じ、細胞膜表面状のVGKCの総数を減らすことで機能を抑制するとされる。
しかし、実際には抗VGKC抗体の陽性率は30%程度。
運動負荷、虚血、寒冷刺激により増悪
→末梢神経障害であるため睡眠時にも症状は消失しない
診断には筋電図検査が有用でmyokimia放電やfasculation, neuromyotonic dischargeを呈する。NCSではMやF波に引き続く反復放電を認める。
治療にはNaチャネルブロッカーの抗てんかん薬が有効。
治療抵抗性の場合には血漿交換療法を行う。
* 抗VGKC複合体抗体
VGKCは電位依存性カリウムチャネルのこと
VGKCはCasper-2やLGI-1, ProteinX, Contactin-2などと複合体を形成する
当初はVGKCそのものに対する抗体が考えられていたが、それぞれ別の部位を攻撃することで様々な病態を呈するとされる
2. Stiff-person症候群
抗GAD抗体や抗amphiphysin抗体が脊髄においてGABAニューロンの機能を障害することにより前角細胞の活動亢進をきたし、筋硬直と発作性有痛性痙攣を呈する。
経過は亜急性や進行性など様々だが、概ね初期には体幹や四肢近位筋局所の筋痙攣で発症し、全身に広がる。
筋硬直は非対称性で主動筋と拮抗筋の両方に生じる。
咽頭筋の障害により嚥下構音障害をきたすこともある。
腱反射の亢進を認めるが通常異常反射は認めない。
血液検査では抗GAD-65抗体が50-70%で陽性である。
5%が傍腫瘍症候群性であり抗amphiphysin抗体が陽性である。
原疾患は乳がんと肺小細胞がん。
一方抗Hu, Yo抗体などは細胞内分子に対する自己抗体であり、結果として生じるが直接病態には関与していないとされている。
GABA作動性のアゴニストであるDZPが有効。
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