【抗てんかん薬の使い分け 2018】
【抗てんかん薬】
・ イオンポンプとイオンチャネル
Na-Kポンプ
3個のNaイオンを細胞外に2個のKイオンを細胞内に輸送
→細胞内は相対的にマイナス電位(-75mV)
電位依存型イオンチャネル
細胞内外の電位差を利用して流入
Na, K, Caがある。
配位依存型イオンチャネル
受容体に伝達物質が結合することでチャネル機能を発現する。
GABA受容体:Clイオンの流入を制御
グルタミン酸受容体(NMDA, AMPA):Caイオンの流入
ニコチン性アセチルコリン受容体:陽イオン一般の流入SV2A:シナプス小胞蛋白2A
・ 主な作用点とその特徴
Naチャネル(CBZ,PHT, LCM): 焦点性→LCMで改良
Caチャネル(GBP, ZNS, ESM): 欠神発作に有効
Na+Ca+GABA代謝阻害 (VPA): 比較的広域スペクトラム
GABA-R (PB) : 中枢神経を広く抑制。高次脳機能低下
SV2A (LEV): 広域スペクトラム
Glu-R+Na,Ca (TPM, LTG, PMP): 広域スペクトラム
[AED]
1. VPA
電位依存型Na, Kチャネル、GABA代謝を阻害
全般発作に広く有効
向精神作用を有する
副作用はNH3上昇や振戦、催奇形性など
2. CBZ
Naチャネルの阻害
焦点性に用いる
向精神作用を有する
副作用は失調とNa低下, 易怒性など
3. LEV
SV2Aの阻害
広域スペクトラムで全般でも焦点でもok、効果も強い
錠剤、シロップ、静注製剤と広い剤形
重篤な副作用が少なく、他のAEDに影響しない
→近年第一選択で用いられることが多い
腎排泄なので腎機能障害患者では注意
副作用は眠気や倦怠感
4. GBP
Ca, GABA阻害
焦点性に用い全般性を増悪
腎排泄なので腎機能障害患者では注意
重大な副作用は少ないが眠気が多い
抗しびれ薬としても用いられる
5. ZNS
Na, Caチャネル阻害
広域スペクトラムで全般でも焦点でもok
薬効はややmild
重篤な副作用は少ないが精神症状が出やすい
パーキンソン病では振戦に対して有効
6. ESM
Caチャネル阻害により視床-皮質路を抑制
欠伸発作、ミオクロニー脱力に有効で大発作は増悪
副作用はてんかん、精神症状、SLE症状、不随意運動、パーキンソン症状等
7. PHT
Naチャネル阻害
焦点性に用い全般性を増悪し稀に焦点性も増悪
作用は容量依存性に強い
副作用は失調、歯肉増殖、末梢神経障害、耐糖能異常、精神症状など多彩
8. PB
GABA-R阻害により大脳皮質機能を低下させる
比較的広域スペクトラム
中断により離脱性痙攣を生じる
副作用は不眠、不穏、失調など
9. TPM
GABA-R(AMPA-R)を中心にNa,Caチャネル,GABAなど広く作用
広域スペクトラムで効果はかなり強いが、副作用による中断多い
副作用は非特異的な倦怠感、しびれ多く、そのほかアシドーシスなど
10. LTG
Glu放出抑制を中心に、Na,Caと広く抑制
広域スペクトラムで作用は中程度
副作用として投与初期の皮疹の頻度高く、そのほか易怒性など
11. LCM
Naチャネルを中心に作用
部分てんかんに有効
薬効はややmildだが他のAEDに影響しない
副作用はめまいや精神症状、不整脈など
12. PMP
Glu-R (AMPA)を中心とした作用
広域スペクトラムで作用も強い
副作用は眠気やふらつきが多く、その他精神症状
神経内科の勉強方 おすすめの教科書はこちら
研修医/内科医が読むべき本はこちら
医師の勉強法/持っておくべきものはこちら
神経内科関連買ってよかった教科書2017