認定内科医試験 2014 解説
【2014年】
1. MCTD
MCTDではレイノー現象と「手指または手背の腫脹」が、いつまでも長く持続することが特徴的である。SLE、全身性強皮症及び多発性筋炎の3疾患にみられる臨床症状あるいは検査所見が混在して認められる。これらは一括して混合所見と呼ばれる。混合所見の中で頻度の高いものは、
1) 多関節炎、
2) 白血球減少、
3) 手指に限局した皮膚硬化、
4) 筋力低下、
5) 筋電図における筋原性異常所見、
6) 肺機能障害
症例の5%に肺高血圧症があり重篤な病態であり、早期に発見して適切な生活指導をすることが必要となる。よってMCTDと診断されたら、肺高血圧症の有無について肺拡散能や心エコーなどを行う。
その他の特徴的症状としては、顔面の三叉神経II枝又はIII枝のしびれ感を主体とした症状で、MCTDの約10%にみられる。また、NSAIDs服用後に起きる無菌性髄膜炎も本症では約10%にみられる。合併症としては、シェーグレン症候群 (25%)、慢性甲状腺炎
(10%)などである。
[治療]
本症は自己免疫疾患であり、抗炎症療法と免疫抑制療法が治療の中心となる。非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)もしばしば使用されるが、まれに無菌性髄膜炎が誘発される点に注意する。急性期には副腎皮質ステロイドが治療の中心となるが、一旦開始すると長期投与となるため、骨粗鬆症や糖尿病、感染症の誘発に注意する。中枢神経障害、急速に進行する肺症状・腎症状、血小板減少症を除いて大量ステロイドが必要になることは比較的少ない。
2. 大動脈弁逆流症
前方への駆出性雑音と後方への逆流性雑音(to and fro雑音),I音の直後に生じる駆出音,大動脈駆出血流による雑音などがある。腋窩の近くまたは左胸郭の中央で聴取される拡張期雑音(Cole-Cecil雑音)は,左室において左房からの充満とARによる充満が同時に起こることで大動脈雑音とIII音が融合することで生じる。心尖部で聴取される拡張中期から後期のランブル(Austin
Flint雑音)は,左室への急速な逆流によって心房血流のピーク時に僧帽弁尖の振動が生じるために起こると考えられ,この雑音は僧帽弁狭窄の拡張期雑音に類似する。I音は弱く,II音は弱い逆流性雑音とより大きく低調の拡張後期雑音のため不明瞭である。拡張期雑音は僧帽弁狭窄と類似し,急速な逆流に起因する僧帽弁尖の振動や軽度の閉塞によってもたらされる。
3. 微小変化型ネフローゼ症候群
臨床的には急激な発症が特徴であり、突然の浮腫をきたすことが多い。高度の蛋白尿や低アルブミン血症、脂質異常症が認められ、胸腹水の貯留をきたすこともある。尿蛋白の選択性は高選択性のことが多く、治療に対する反応が良好である。成人において顕微鏡的血尿が観察されるのは稀ではなく、約20~30%報告されている。
尿所見:高度蛋白尿を来たすが、通常血尿は伴わない。尿蛋白の選択性
は高い(SI※≦0.2)。尿沈査にて卵円形脂肪体を認めることがある。
※ Selectivity index(SI)=CⅠgG/Ctransferrin
SIが低いほど大分子の蛋白が漏出し難い→選択性が高い
血液検査:高度の低蛋白血症とコレステロール値の上昇を示す。血清IgGは低値をとることが多い。血清IgEの上昇がしばしば認められるが、原因は不明。
腎
機 能:正常の場合が殆どだが、腎前性腎不全を来たす場合もある。
4-5. リケッチア
・紅斑熱群
R. rickettsii ロッキー山紅斑熱
R. akari リケッチア痘
R. conorii ボタン熱
R. sibirica シベリアチックチフス
R. australis オーストラリアチックチフス
R. japonica 日本紅斑熱
・発疹熱群
R. prowazekii 発疹チフス
R. typhi 発疹熱
・つつが虫病
Orientia tsutsugamushi ツツガムシ病
[治療]
テトラサイクリン、ドキシサイクリン、クロラムフェニコール等の代謝・DNA合成を阻害する機序の抗生物質を投与する。ペニシリンなど、臨床的に頻用されるβ-ラクタム系の細胞壁のペプチドグリカンを合成阻害する抗生物質が全く効かないことに注意が必要である。
6. グラム染色
グラム陽性:青
グラム陰性:赤
→グラム陰性球菌
:Moraxella catarrhalis, 髄膜炎菌, 淋菌
ちなみにグラム陽性桿菌はクロストリジウム、ジフテリア、リステリア
7. スピロノラクトン
K保持性利尿薬
8.
ITP
血小板膜蛋白に対する自己抗体が発現し、血小板に結合し、脾臓での血小板の破壊が亢進し、血小板減少を来す。
[症状]
ウイルス感染が多くの場合先行し、急激に発症し数週から数か月の経過にて自然治癒することが多い。急激に血小板が減少する場合には、出血症状も高度であることが多い。臨床症状は出血症状であり、主として皮下出血(点状出血又は紫斑)を認める。
[治療]
ピロリ菌陽性→除菌療法。
陰性→ステロイド、脾摘、トロンボポエチン受容体作動薬
ガンマグロブリン大量静注療法は一過性ではあるが高率に血小板数の増加が期待され、外科的手術時、分娩時、重篤な出血時など緊急に血小板増加が必要時には有用である。重篤な出血が認められる場合には血小板輸血も考慮される。
9. t-PAの禁忌項目
10. 炎症の5徴
腫脹、疼痛、発赤、発熱、機能障害
11. 関節リウマチ
12. ROS
症状を漏れ無く把握するために鑑別に関わる症状の有無を箇条書きで記載する。
13. 感度・特異度
・感度(sensitivity)
がん検診の場合にはある検査が、がんのある者を「陽性」と正しく判定する割合。下表の中、a/(a+b)の値である。感度が高いことは、検査法の見落としの少ない検査法であることを意味する。
・
特異度(specificity)
ある検査が、がんのない者を「陰性」と正しく判定する場合。下表の中、d/(c+d)の値である。特異度が高いことは、偽陽性が少ないことを意味し、有病率が低い疾患であるがんを対象とした検診の場合では、最も重要な指標である。
14. SLE
抗核抗体
均等型:抗ds,ssDNA抗体、抗ヒストン抗体、抗mi-2,pm-1抗体
辺縁型:抗ds,ssDNA抗体
斑紋型:抗RNP抗体、抗Sm抗体、抗SS-A,SS-B抗体、抗Scl-70抗体、抗Ku抗体、抗Ki抗体、抗PCNA抗体、抗RANA抗体
核小体型:抗Scl-70抗体、抗PCNA抗体
細胞質型:抗Jo-1抗体、抗リボソーム抗体、抗ミトコンドリア抗体
PCNA型:セントロメア型
centromere pattern:抗セントロメア抗体
15. 大腸ポリープ
[Cronkhite–Canada syndrome]
ストレスや内服といった外因による発症が多い。
胃、大腸、小腸にポリポーシスを生じる。爪の萎縮、全身の脱毛、色素沈着、味覚異常など外胚葉系の異常が見られる。蛋白漏出性胃腸症を合併する。腹部症状としては腹痛、下痢、食欲不振などがある。
腫瘍性ポリポーシスに比べると稀だが、消化管癌合併の報告がされており胃癌、大腸癌の合併が多い。
・ 治療
副腎皮質ホルモン治療が有効。中心静脈栄養を併用する。抗菌剤やヒスタミン受容体拮抗薬の有効性が報告されている。
[類縁疾患]
家族性大腸腺腫症:胃、十二指腸、大腸にポリポーシスができるAD疾患
ガードナー症候群:大腸腺腫症に頭蓋骨や下顎骨に多発する骨腫
ターコット症候群:大腸線維腫に神経系腫瘍が合併したもの
ポイツ・ジェガーズ症候群:胃、大腸にポリポーシス。手足に色素沈着
カウデン症候群:消化管にポリポーシスが発症し、顔面に小丘疹、四肢に角化性丘疹、口腔粘膜に乳頭腫が見られる。
16. ビタミンD中毒
高カルシウム血症、肝機能障害、腎臓障害、多飲・多尿、尿路結石、尿毒症、高血圧、易刺激性(不機嫌)、腹痛、発熱、発疹、かゆみ、吐き気または嘔吐、食欲不振、便秘、虚弱、疲労感、睡眠障害、歩行困難、体重減少、貧血、脱毛、けいれん、昏睡など
17. GIST
GISTは全消化管(GI)腫瘍の1%未満であるが、消化管間葉系腫瘍としては最も一般的な腫瘍である。
大多数のGISTは散発性であるが、KIT遺伝子における特徴的な遺伝的変異と関連するまれな家族性GISTも存在する。
[病態]
GISTはカハール介在細胞(ICC)またはその幹細胞様前駆体に由来すると考えられている。GISTの約95%が、KIT受容体チロシンキナーゼのエピトープである
[病変部位]
胃(60%)小腸(30%)直腸(3%)結腸(1~2%)食道(1%未満)
大網/腸間膜(まれ)
[症状]
急性(下血や吐血)または慢性の消化管出血であり、貧血を引き起こす。
腫瘍破裂を原因とする急性腹症。
消化管閉塞。
虫垂炎様疼痛。
リンパ節転移および肺やその他の腹部外の部位への転移はまれ
[検査]
コンピュータ断層撮影(CT)、MRI、上部消化管内視鏡検査、18FDG-PET
[治療]
メシル酸イマチニブ、またはイマチニブ耐性GISTの症例においてはスニチニブリンゴ酸塩などのKIT/PDGFRAチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)による特異的分子標的治療が利用できるため、GISTの正確な同定が非常に重要である。
18. 糖尿病性末梢神経障害
下肢腱反射が低下する。
19-20. SLE
SLEできたしうる肺病変は胸膜炎と肺胞出血
・SLE活動性判定基準
(厚生省自己免疫疾患調査研究班、1985 年)
1. 発熱
2. 関節痛
3. 紅斑(顔面以外も含む)
4. 口腔潰瘍または大量脱毛
5. 血沈亢進(30mm/時以上)
6. 低補体血症(CH50:20U/mL以下、あるいはC3:60mg/dL以下)
7. 白血球減少症(4000/μL以下)
8. 低アルブミン血症(3.5g/dL以下)
9. LE細胞またはLEテスト陽性
上記9項目中3項目以上陽性を活動性と判定する。
(感度:95.7%、特異性:94.0%)
SLEの急性増悪(flares)
→flareの予測には補体低下と抗dsDNA抗体上昇が有用
(補体低下と抗dsDNA抗体上昇がある患者の12%は急性症状を呈さない)
軽度:微熱、頬部紅斑、関節痛が出現し、倦怠感が増悪。軽度白血球減少。
中等度:胸膜痛と肘関節腫脹。L/Dで急性反応が起きている。X線で胸水あり。
→PSLやアザチオプリン
重度:ループス腎炎による腎不全。補体低下と抗dsDNA抗体上昇あり。
→高容量のプレドニゾン+免疫抑制薬
・ SLEと血漿交換の適応
治療抵抗性のループス腎炎、中枢神経性の病変、肺胞出血などの重症病変
21. ステロイド力価
22. 肝静脈
肝静脈は下大静脈に流入する
23. MGUS(臨床的意義の不明なM蛋白血症)
→血液中にM蛋白を認めるが、骨髄中には腫瘍細胞を認めない
[定義]
・ 血中M蛋白が3g/dL未満
・ 骨髄中のクローナルな形質細胞の割合が10%未満
・ 高血症,腎機能障害,貧血,溶骨性骨病変などの臓器障害がない
1年に約1%の頻度で多発性骨髄腫,悪性リンパ腫,原発性アミロイドーシス,マクログロブリン血症,慢性リンパ性白血病,形質細胞腫などの疾患にクローン性進展する。進展のリスク因子として,診断時の血清M蛋白量が1.5 g/dL以上,IgG型以外のMGUS,FLC比が異常(<0.26もしくは>1.65),M蛋白以外の免疫グロブリン低下がある。
[疫学]
年齢とともに増加し,25歳の1%から70歳を過ぎると5%を超える。
[症状]
通常無症候性
末梢神経障害がみられることがある
骨量減少が促進され骨折が起こりやすくなるリスクが高い。
最ほとんどの症例が良性であるが,最大25%が骨髄腫,マクログロブリン血症,アミロイドーシス,またはリンパ腫のような関連B細胞疾患に進行する。
[検査]
ルーチンの診察時に血液または尿にMタンパクが偶然検出された場合に疑われて,診断される。臨床検査の評価で認められるMタンパクの量は,血清中(3g/dL未満)または尿中(24時間当たり300mg未満)のいずれも低い。
[治療]
抗腫瘍薬による治療は推奨されない。
6~12カ月毎に,血清および尿のタンパク電気泳動を実施し,進行評価する
* Mタンパク:異常な抗体
24. PFD試験
PFD試験は,合成基質N-ベンゾイル-L-チロシル-p-アミノ安息香酸(BT-PABA)を経口投与し,膵外分泌酵素キモトリプシンによる腸管内分解産物であるパラアミノ安息香酸(PABA)の吸収後の尿中排泄率を測定する方法である。
経口投与されたBT-PABAは,消化管で吸収されず,膵液中のキモトリプシンによって加水分解され,PABAを遊離する。遊離したPABAは,腸管から容易に吸収されて肝で包含を受け,腎より排泄される。よって膵外分泌機能の障害でキモトリプシン分泌が低下している状態では,BT-PABAの加水分解が減少する為,尿中への排泄量も減少する。よって,PABAを服用し,尿中への排泄量を測定する事により,間接的に膵外分泌機能を知る事が出来る。
25. ARDSの呼吸器設定
(1)換気モード
①自発呼吸が無い場合
調節換気(controlled mechanical ventilation:CMV)の設定とする。
②自発呼吸がある場合
SIMV、PSV、補助・調節呼吸(Assist/Control)などを選択する。自発呼吸をトリガーできるように、圧トリガーでは吸気トリガー感度を-1~-2cmH2Oに、流量トリガーでは、2~3L/分に設定する。
頻呼吸(40回/分以上)や強い吸気努力を伴い、患者-人工呼吸器の同調性が悪い場合は、適正量の鎮静薬、筋弛緩薬を投与して調節換気に変更する。
(2)吸気酸素濃度(FIO2)
初期設定では1.0(100%)とする。15~30分後に血液ガス分析を行い、PaO2を参考にFIO2を低下させる。
(3)一回換気量(VT)
10ml/kg以下とする。PSV、PCVなどの圧規定型換気様式の場合、一回換気量は二次的に決定される。すなわち、モニターされる一回換気量を参考にPSV、PCVの圧を設定する。
(4)換気回数
補助・調節換気、SIMVの場合に設定が必要である。10~30回/分に設定する。
(5)PEEP
PEEPの初期設定値は5 cmH2O以上とする。PaO2、最高気道内圧、循環抑制の程度などを参考に調節する(通常は5~20 cmH2Oになる)。
26. SIADH
[主症候]
1.脱水の所見を認めない。
2.低ナトリウム血症の症状を呈することがある。
[検査所見]
1.低Na血症:血清Na濃度は135 mEq/Lを下回る。
2.血漿ADH値:Na濃度が135 mEq/L未満で、ADH濃度が測定感度以上
3.低浸透圧血症:血漿浸透圧は280
mOsm/kgを下回る。
4.高張尿:尿浸透圧は300 mOsm/kgを上回る。
5.ナトリウム利尿の持続:尿中ナトリウム濃度は20 mEq/L以上である。
6.腎機能正常:血清クレアチニンは1.2
mg/dl以下である。
7.副腎皮質機能正常:早朝空腹時の血清コルチゾールは6 μg/dl以上である。
[治療]
1.原疾患の治療を行う。
2.1日の総水分摂取量を体重1 kg当り15~20 mlに制限する。
3.食塩を経口的または非経口的に1日200 mEq以上投与する。
4. 重症低Na血症ではフロセミドを随時10~20 mg静脈内に投与し、3%食塩水を投与する。その際、橋中心髄鞘崩壊を防止するために1日の血清ナトリウム濃度上昇は10 mEq/L以下とする。
5.異所性バゾプレシン産生腫瘍に原因し、既存の治療で効果不十分な場合に限り、成人にはモザバプタン塩酸塩錠(30 mg)を1日1回1錠食後に経口投与する。投与開始3日間で有効性が認められた場合に限り、引き続き7日間まで継続投与することができる。
6.デメクロサイクリンを1日600~1,200 mg経口投与する
27. 遠位筋優位の筋疾患
・遠位型ミオパチー
縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー:常染色体劣性
三好型ミオパチー:常染色体劣性
眼咽頭遠位型ミオパチー:遺伝形式不明
・ 筋緊張性ジストロフィー
* 近位筋優位に障害される神経疾患
Werdnig-Hoffmann病(SMAⅠ型)
Kugelberg-Welander病(SMAⅢ型)
Kennedy-Alter-Sung症候群(BSMA)
28. 接触性皮膚炎
境界の比較的明瞭な湿疹病変、
慢性的で遷延している湿疹病変の場合には接触皮膚炎を強く疑う。手背や前腕などの露出部に難治性の慢性化した湿疹病変があるときには職業性接触皮膚炎を疑う。時間的経過が急であればエピソード重視、慢性的であれば生活重視で問診を進める。接触皮膚炎を診断するためにはパッチテストで原因を特定する必要がある。パッチテスト陽性のものに関して、それを除去すると症状が改善するかどうかで診断を確定することができる。
全身型金属アレルギーの場合にはパッチテストは陰性で、内服誘発テストで症状が誘発されることもある。顔面の難治性紅斑や湿疹病変を呈しているときは脂漏性皮膚炎や酒さとの鑑別が必要である。
29. 生物学的製剤
TNF阻害薬が関節リウマチ(RA)の治療に導入され、現在、インフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブ、ゴリムマブ、セルトリズマブペゴルの5剤が使用可能である。
[適応基準]
既存の抗リウマチ薬(DMARD)通常量を3ヶ月以上継続して使用してもコントロール不良のRA患者。
コントロール不良の目安として以下の3項目を満たす者。
・圧痛関節数6関節以上
・腫脹関節数6関節以上
・CRP 2.0mg/dl以上あるいはESR 28mm/hr以上
これらの基準を満たさない患者においても、
・画像検査における進行性の骨びらんを認める
・DAS28-ESRが3.2(moderate disease activity)以上
のいずれかを認める場合も使用を考慮する。既存の抗リウマチ薬による治療歴のない場合でも、罹病期間が6ヵ月未満の患者では、DAS28-ESRが5.1超(high disease
activity)で、更に予後不良因子(RF陽性、抗CCP抗体陽性又は画像検査における骨びらんを認める)を有する場合には、MTXとの併用による使用を考慮する。
[開始前基準]
末梢血白血球数4000/mm3以上
末梢血リンパ球数1000/mm3以上
血中βD-グルカン陰性
を確認することが望ましい
30. 間質性肺炎
間質性肺炎は肺胞と毛細血管を取り囲む間質と呼ばれる組織に生じる病態のひとつ。間質性肺炎の場合は支持組織、特に肺胞隔壁に起こる炎症であり、肺胞性の肺炎とは異なった症状・経過を示す。
・特定の原因(感染・膠原病など)がある場合
・ 特定の原因がない場合:特発性間質性肺炎
[特発性間質性肺炎]
組織型によりいくつかに分類されるが、剥離性間質性肺炎は喫煙との関連が明らかになっている
・ 特発性肺線維症(IPF: Idiopathic Pulmonary Fibrosis)
・ 非特異性間質性肺炎(NSIP: Non-Specific Interstitial Pneumonia)
・ 特発性器質化肺炎(COP: Cryptogenic Organizing Pneumonia)
・ 剥離性間質性肺炎(DIP: Desquamative Interstitial Pneumonia)
・ 呼吸細気管支炎関連間質性肺炎(RB-ILD: Respiratory Bronchiolitis - associated Interstitial Lung
Disease)
・ 急性間質性肺炎(AIP: Acute Interstitial Pneumonia)
・ リンパ球性間質性肺炎(LIP: Lymphocytic Interstitial Pneumonia)
[治療]
間質性肺炎は、原疾患の病勢、治療薬の副作用、感染症などをきっかけに急激に症状が増悪し致命的となる場合がある。これを急性増悪といい、管理上の最大の問題となる。緊急的にステロイドパルス療法が行われる。
31. メタボリックシンドローム
腹部肥満:ウエストサイズ 男性85cm以上 女性90cm以上
中性脂肪値・HDL値:中性脂肪値150mg/dl以上・HDL値 40mg/dl未満
血圧:収縮期血圧 130mmHg以上拡張期血圧 85mmHg以上
血糖値:空腹時血糖値 110mg/dl以上
32. 肺炎球菌性肺炎
市中肺炎の最大の起炎菌である。乳幼児ではインフルエンザ桿菌に次ぐ。また、乳幼児では全身性感染症の部分症状として肺炎が発症する場合がある。鉄錆色の喀痰を示すことで有名である。
33. 急性心膜炎
急性心膜炎は急速に発生して,炎症反応を引き起こす。亜急性心膜炎(誘発事象の発生後数週から数カ月以内に発生する)と慢性心膜炎(6カ月以上にわたり持続するものと定義)は,より緩徐に発生し,ともに心嚢液貯留を重要な特徴とする。急性のものが亜急性または慢性に変化することもある。血行動態への悪影響や不整脈はまれであるが,心タンポナーデを起こす可能性がある。ときに,心膜炎は心膜の著明な肥厚や硬化を引き起こす(収縮性心膜炎)。心膜炎から心外膜側心筋の炎症(心筋心膜炎)を来すこともある。
[病因]
急性心膜炎は,感染症,自己免疫疾患,炎症性疾患,尿毒症,外傷,心筋梗塞,癌,放射線療法,または特定の薬剤が原因となって発生する(
急性心膜炎の原因)。感染性心膜炎は大半がウイルス性である。化膿性細菌性心膜炎はまれではあるが,感染性心内膜炎,肺炎,敗血症,穿通性損傷,または心臓手術に続いて発生することがある。しばしば原因を同定できないこともあるが(非特異的または特発性心膜炎と呼ばれる),それらの症例の多くはおそらくウイルス性である。全体的に,最も一般的な原因はウイルス性と特発性である。急性心膜炎症例の10~15%は急性心筋梗塞が原因である。心筋梗塞後症候群(ドレスラー症候群)は,現在ではあまり一般的な原因ではなくなっているが,貫壁性梗塞患者において経皮的冠動脈形成術(PTCA)または血栓溶解薬による再灌流療法が無効である場合に主に発生する。心臓手術の5~30%では,心膜切開後に心膜炎が起こる(心膜切開後症候群と呼ばれる)。心膜切開後症候群,心筋梗塞後症候群,および外傷性心膜炎は,併せてpost-cardiac injury syndromeと呼ばれている。
[所見]
心膜炎の最も重要な身体所見は,前胸部で聴取される三相または収縮期および拡張期の摩擦音である。しかしながら,摩擦音はしばしば間欠性で消失しやすく,収縮期のみに聴取されたり,頻度はより少ないが拡張期のみに聴取されることもある。起座位で前傾姿勢をとらせても摩擦音が聴取できない場合は,患者を四つん這いにさせて膜型の聴診器で聴診を試みてもよい。ときに,呼吸時に摩擦音の胸膜成分が聴取できる場合があるが,これは心膜に隣接する胸膜の炎症に由来する。
[診断]
心電図および胸部X線検査を施行する。心エコー検査を施行して,液貯留(特に限局性心タンポナーデを伴う被包化された心嚢液貯留;その非定型的な臨床像のため疑われない場合があり,また心腔の圧迫や特徴的な呼吸変動などの間接的な所見から示唆されることもある),心臓の充満の異常,および心筋障害の特徴である壁運動異常の有無を確認する。血液検査で白血球増多や赤沈亢進を認めることがあるが,これらの所見は非特異的である。診断は典型的な臨床所見と心電図異常の存在に基づく。異常を示すには,複数回の心電図検査が必要となる場合がある。急性心膜炎の心電図では,ST部分およびT波に限局した異常が,通常は大半の誘導で出現することがある(
急性心膜炎:Stage 1 心電図)。ST部分は標準誘導の2つまたは3つで上昇するが,後に基線に戻る。心筋梗塞と異なり,急性心膜炎では対側性変化としてのST低下が認められず(aVRとV1誘導を除く),異常Q波もみられない。PR部分の下降を認めることがある。数日以上の経過後には,T波がaVR誘導を除く心電図全体で平低化し,その後逆転することがある;このT波の逆転はST部分が基線に戻った後に起こるため,急性虚血や心筋梗塞のパターンとは異なる。急性心膜炎の心エコー検査では,典型的には液貯留が描出され,診断を確定する上で有用であるが,純粋な線維性の急性心膜炎を呈する患者では心エコー検査は正常となることが多い。心筋障害を示唆する所見としては,新たな局所性またはびまん性の左室機能障害などがある。
[治療]
疼痛および炎症に対してNSAID,ときにコルヒチンまたはコルチコステロイド
心タンポナーデおよび大量の心嚢液貯留の一部に対して心嚢穿刺
ときに薬剤の心嚢内投与(例,トリアムシノロン)
ときに収縮性心膜炎に対する心膜切除術
原因の治療
34. 血漿浸透圧の計算
血漿浸透圧Posm(mOsm/L)=
2×[Na+](mEq/L) + グルコース(mg/dL)/18 +BUN(mg/dL)/2.8
35. AIHA
自己免疫性溶血性貧血(AIHA)は、赤血球膜上の抗原と反応する自己抗体が産生され、抗原抗体反応の結果、赤血球が傷害を受け、赤血球の寿命が著しく短縮(溶血)
し、貧血を来す病態である。自己抗体の出現につながる病因の詳細はいまだ不明の部分が多く、臨床経過・予後の面でも多様性に富む不均質な病態群と理解される。自己抗体の出現を共通点とするが、抗体の性状、臨床的表現型、好発年齢など様々な観点からみて異なる特徴をもつ病態を包含する。自己抗体の赤血球結合の最適温度により温式と冷式のAIHAに分類される。
[症状]
臨床像は多様性に富む。特に急激発症では発熱、全身衰弱、心不全、呼吸困難、意識障害を伴うことがあり、ヘモグロビン尿や乏尿も受診理由となる。症状の強さには貧血の進行速度、心肺機能、基礎疾患などが関連する。代償されて貧血が目立たないこともある。黄疸もほぼ必発だが、肉眼的には比較的目立たない。特発性でのリンパ節腫大はまれである。脾腫の触知率は32~48%。特発性血小板減少性紫斑病(ITP)を合併する場合をエヴァンズ(Evans)症候群と呼ぶ。
[治療]
特発性の温式AIHAの治療では、副腎皮質ステロイド薬、摘脾術、免疫抑制薬が三本柱であり、そのうち副腎皮質ステロイド薬が第1選択である。成人例の多くは慢性経過をとるので、はじめは数か月以上の時間枠を設定して治療を開始する。その後の経過によって年単位ないし無期限へ修正する必要も生じる。2/3次選択の摘脾術や免疫抑制薬は、副腎皮質ステロイド薬の不利を補う目的で採用するのが原則である。恐らく特発性の80~90%はステロイド薬単独で管理が可能と考えられる。CAD及びPCHの根本治療法はなく、保温が最も基本的である。温式・冷式共に抗体療法(rituximab)の有用性が報告されている。
36. APS, SLE
インフリキシマブの適応として、関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎、ベーチェット病によるぶどう膜炎、尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、強直性脊椎炎、腸管型ベーチェット病、神経型ベーチェット病、血管型ベーチェット病、川崎病が認可されている。
* APS
抗リン脂質抗体(aPL)には、抗カルジオリピン抗体(aCL)、ループス抗凝固因子(LAC)、ワッセルマン反応(STS)偽陽性などが含まれるが、これらの抗体を有し、臨床的に動・静脈の血栓症、血小板減少症、習慣流産・死産・子宮内胎児死亡などをみる場合に抗リン脂質抗体症候群(APS)と称せられる。全身性エリテマトーデス(SLE)を始めとする膠原病や自己免疫疾患に認められることが多いが(続発性)、原発性APSも存在する。また、多臓器梗塞を同時にみる予後不良な病態は、劇症型抗リン脂質抗体症候群(catastrophic APS)と称せられる。原因は未だ不明である。
[治療]
続発性のAPSでは、原疾患に対する治療とともに抗凝固療法を行う。原発性の場合には抗凝固療法が主体となる。抗凝固療法は、抗血小板剤(低容量アスピリン、塩酸チクロピジン、ジピリダモール、シロスタゾール、PG製剤など)、抗凝固剤(ヘパリン、ワルファリンなど)、線維素溶解剤(ウロキナーゼなど)などを含み、病態に応じ選択される。
副腎皮質ステロイドと免疫抑制薬は、基礎疾患にSLEなどの自己免疫疾患がある場合や、catastrophic APSなどに併用される。これらの免疫抑制療法はaPLの抗体価を低下させるが、副腎皮質ステロイドの高用量投与は易血栓性をみるため注意が必要である。その他、病態に応じ血漿交換療法やガンマグロブリン大量静注療法が併用される。
37. iNPH
正常圧水頭症(Normal Pressure Hydrocephalus:NPH)は、歩行障害、認知障害、尿失禁の3徴を呈し、脳室拡大はあるが、髄液圧は正常で、髄液シャント術によって症状が改善する病態。
臨床的には、NPHは、くも膜下出血、髄膜炎、外傷などの先行する先行疾患に引き続いて起こる二次性NPH(secondary NPH:sNPH) と、先行疾患が明らかでない特発性NPH(idiopathic NPH:iNPH)とに分けられる。
両者はさまざまな点で異なり、別の病態と考えたほうがよい。
iNPHはsNPHと比較して、症状発現までの期間が長く、頭部MRIでシルビウス裂の拡大が目立ち、シャント術に対する反応性が悪い。
またsNPHは先行疾患に引き続いて発現するため、通常診療の過程で発見されることが多く見逃されることは少ない一方、iNPHはしばしば他疾患と間違えられ発見が遅れることが多い。
また iNPHは最近、わが国で行われた疫学研究の結果から、一般高齢者の0.5~2.9%の頻度で存在する可能性が指摘され、適切に診断することの重要性が増している。
[検査]
60歳代以降
歩行障害、認知障害、尿失禁が1つ以上
脳室拡大(Evans index>0.3)
画像上、iNPHを疑う所見→possible iNPH with MRI support
(高位円蓋部および正中部の脳溝、くも膜下腔の狭小化)
CSFタップテスト(Taptest)で改善→probable iNPH
Shuntで治癒 : definite iNPH
38. Ramsay-Hunt syndrome
[Ramsay Hunt症候群とは]
水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)によって生ずる顔面神経麻痺を主徴とする疾患である。小児期に罹患した水痘の口腔粘膜疹からVZVが逆行性に、あるいはウイルス血症によって顔面神経の膝神経節に到達後潜伏し、後年それが再活性化することで神経炎が生じ、腫脹した神経が骨性顔面神経管の中で自己絞扼を生じ顔面神経麻痺、すなわち顔面半側の表情筋運動障害が発症する。加えて周囲の脳神経にも波及し、耳介の発赤・水疱形成や耳痛、難聴、めまいなどを合併する特徴がある。稀に下位脳神経炎や脳炎をきたし、重篤化する。逆に顔面神経麻痺のみの症状のみで、臨床所見ではBell麻痺と鑑別が困難なものをzoster sine herpeteという。
[治療]
Hunt症候群の治療は、ステロイドと抗ウイルス薬の投与である。
39.心不全
[NYHA]
I度: 心疾患があるが、身体活動には特に制約がなく日常労作により、特に不当な呼吸困難、狭心痛、疲労、動悸などの愁訴がしょうじないもの。
II度:心疾患があり、身体活動が軽度に制約されるもの;安静時または軽労作時には障害がないが、日常労作のうち、比較的強い労作(例えば、階段上昇、坂道歩行など)によって、上記の愁訴が発言するもの。
III度:心疾患があり、身体活動が著しく制約されるもの;安静時には愁訴はないが、比較的軽い日常労作でも、上記の主訴が出現するもの。
IV度:心疾患があり、いかなる程度の身体労作の際にも上記愁訴が出現し、また、心不全症状、または、狭心症症候群が安静時においてもみられ、労作によりそれらが増強するもの。
40. ASO
間歇性跛行に有効な薬剤としてTASCⅡで唯一認められている薬剤は,シロスタゾールである。
41.
DLB
レビー小体型認知症は運動のスロー化、手足の震え、幻視、睡眠障害、失神、バランス失調、転倒などを経験する。覚醒状態は日々変化し、はっきりしているときもあれば、短期記憶が失われている日もある。65歳以下が罹患することはまれである。アルツハイマー型認知症(AD)と同様、DLBに根治方法はないが、理学療法などで症状を改善することはできる。長く治療薬がなかったが、2014年、ドネペジルが進行抑制作用を認められ、世界初の適応薬として認可された。
42. 左房粘液腫
原発性心臓腫瘍全体の50%を占める。女性での発生率が男性の2~4倍である。まれにみられる家族性腫瘍(Carney症候群)は男性の方が多い。粘液腫の約75%が左房に生じ,残りは他の心腔に孤立性の腫瘍として生じることもあれば,比較的まれであるが複数の部位に生じることもある。約75%が有茎性で,拡張期に僧帽弁に落ち込んで,心室充満を妨げることがある。残りの腫瘍は広基性および無茎性である。粘液腫には,粘液状ないしゼリー状のもの,平滑で堅く分葉状のもの,もろく不整のものなどがある。もろく不整な粘液腫は全身性塞栓症のリスクを増大させる。
[MS]
僧帽弁狭窄症はほとんどが小児時期や若年期になったリウマチ熱の後遺症として起こっている。原因となる連鎖球菌感染症に対する抗生剤の使用により、日本では新たなリウマチ熱患者の発生は大幅に減少した。リウマチ性弁膜症による死亡は、1975年の統計では中年女性の心疾患死亡の約20%を占めていたが、僧帽弁狭窄症の患者数は現在は大きく減少した。
42. PTE
息切れ、 SpO2低下、咳嗽、痰(血痰)
突然発症する胸痛、呼吸困難、頻脈
血圧低下、チアノーゼ
顔面蒼白、冷汗、シバリング、ショック、意識消失、肺動脈圧上昇
→肺動脈楔入圧=左房圧であり左心系の圧上昇はきたさない
43. 血友病
性染色体であるX染色体上にある、血液凝固因子の第VIII因子、第IX因子をコードする遺伝子に変異が入ることによって引き起こされる。伴性遺伝。劣性遺伝子であるため、X染色体が二本ある女性の場合には、もう一方のX染色体に異常がなければ機能が補完されるため、発症する事がない。そのため血友病患者のほとんどが男性であり、女性は全血友病患者の1%以下。孤発が25%。
[症状]
深部出血
[検査]
血小板数正常、出血時間正常
PT, APTTの延長(内因性抗凝固因子の欠乏による)
[治療]
因子補充療法
45. 痛風
[発作時の治療]
NSAIDs(使用できない時はステロイド)
発作予兆時にはコルヒチン
[長期管理]
・発作の既往があれば薬物治療を開始
・発作の既往なく血清尿酸値が8.0mg/dl以上の場合には合併する病態(肥満、高血圧症、高脂血症、虚血性疾患、耐糖能異常など)があれば薬物治療を考慮
・発作の既往なく血清尿酸値が9.0mg/dl以上の場合には薬物治療を考慮
治療薬
(1) 尿酸排泄促進薬
ベンズブロマロン(商品名:ユリノーム)、プロベネシド(商品名:ベネシッド)
(2) 尿酸生成阻害薬
アロプリノール(商品名:ザイロリック、アロプリノーム)、フェブキソスタット(商品名:フェブリク)
尿酸排泄低下型高尿酸血症には尿酸排泄促進薬を、尿酸産生過剰型高尿酸血症には尿酸生成抑制薬を使用。尿路結石、腎障害合併時には尿酸生成抑制薬が第1選択
46. マクロライド耐性マイコプラズマ
幼児期から青年期の下気道感染症において、マイコプラズマは主要な原因のひとつである。菌自体が細胞壁を持たないことから、マクロライド系やテトラサイクリン系などのタンパク合成阻害薬や、キノロン系などのDNA 合成阻害薬といった抗菌薬が治療に用いられる。歴史的にはマクロライド系が第一選択とされるが、昨今小児領域ではマクロライド耐性マイコプラズマが増加傾向にある。
47. アレルギー検査
[血液検査]
(1) RIST: 血中総IgEを測定する
(2) RAST: 特定のアレルゲンに対するIgEを測定する
(3)ヒスタミン遊離試験
(4)DLST: リンパ球刺激試験
[皮膚試験]
(1) プリック試験:皮膚を傷つけてアレルゲンを垂らす
(2) 皮内試験: アレルゲンを皮内に投与
(3) パッチ試験:貼付
48. すい嚢胞性疾患
49. リンパ腫
・成熟B 細胞腫瘍
慢性リンパ性白血病(Chronic
lymphocytic leukemia/small lymphocytic lymphoma)
B 細胞前リンパ球性白血病(B-cell
prolymphocytic leukemia)
脾B 細胞辺縁帯リンパ腫(Splenic B-cell marginal zone
lymphoma)
有毛細胞白血病(Hairy cell
leukemia)
リンパ形質細胞性リンパ腫(Lymphoplasmacytic
lymphoma)
重鎖病(Heavy chain
disease)
形質細胞腫瘍(Plasma cell
neoplasms)
粘膜関連リンパ組織型節外性辺縁帯リンパ腫(MALT リンパ腫)
節性辺縁帯リンパ腫(Nodal marginal
zone lymphoma)
濾胞性リンパ腫(Follicular
lymphoma)
マントル細胞リンパ腫(Mantle cell
lymphoma)
びまん性大細胞型B 細胞リンパ腫(Diffuse large B-cell
lymphoma)
バーキットリンパ腫(Burkitt lymphoma)
・成熟T 細胞およびNK 細胞腫瘍
T 細胞前リンパ球性白血病
T 細胞大顆粒リンパ球性白血病
アグレッシブNK 細胞白血病
成人T 細胞白血病/ リンパ腫
節外性鼻型NK/T 細胞リンパ腫
腸管症関連T 細胞リンパ腫
肝脾T 細胞リンパ腫
皮下脂肪組織炎様T 細胞リンパ腫
菌状息肉症
セザリー症候群
・ホジキンリンパ腫
結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫
古典的ホジキンリンパ腫(Classical Hodgkin
lymphoma)
50. アスピリン過敏症
・COX-1阻害によりロイコトリエンが過剰産生され喘息、蕁麻疹、血管浮腫
・ IgEが関与したアレルギー反応
の2種類に分けられる
51. 急性好酸球性肺炎
発生率および有病率は不明である。AEPはあらゆる年齢で発生しうるが,しばしば20~40歳の患者に生じ,男女比は2:1である。原因は不明であるが,AEPは,その他の点では健常者における未確認の吸入抗原に対する急性過敏反応である可能性がある。タバコまたは他の煙への曝露も関係することがある。
[症状と徴候]
AEPは短期間(通常 < 7日)の急性発熱性疾患を引き起こす。症状は,乾性咳嗽,呼吸困難,倦怠感,筋肉痛,盗汗,および胸膜性胸痛である。徴候には,頻呼吸,発熱(しばしば > 38.5℃),ならびに両側肺底部の吸気性断続性ラ音およびときにみられる努力呼気時の類鼾音などがある。AEP患者はしばしば機械的人工換気を要する急性呼吸不全を呈する。まれに,血液分布異常性(hyperdynamic)ショックが起こりうる。
[診断]
高分解能CT(HRCT)
ときに血算,胸水分析,および肺機能検査
BALF,およびときに生検のための気管支鏡検査
呼吸不全へと進行する急性肺炎症状があり,抗菌薬に反応しない患者で,本症を疑う。診断は,ルーチン検査の所見に基づいて行い,気管支鏡検査で確定する。AEPは除外診断により診断し,好酸球性肺炎を引き起こす既知の原因(例,薬剤および毒素誘発性,蠕虫および真菌感染関連,好酸球性多発血管炎性肉芽腫症[チャーグ-ストラウス症候群],特発性好酸球増多症候群,腫瘍)がないことが必要である。慢性好酸球性肺炎と異なり,血算では著明な好酸球の増加がみられないことが多い。赤沈値およびIgE値は高いが,非特異的である。
胸部X線は初期には微妙な網状影またはすりガラス陰影のみを示し,しばしばKerley B lineを伴うことがある。孤立性の肺胞陰影(症例の約25%)または網状陰影(症例の約25%)も,認められることがある。慢性好酸球性肺炎と異なり,AEPの陰影は末梢肺野に位置するという特徴はない。患者の3分の2で少量の胸水が生じ,しばしば両側性である。
HRCTでは常に異常所見があり,両側のランダムな斑状のすりガラス陰影または網状陰影を伴う。
胸水検査は,pH高値を伴う著明な好酸球増多を示す。肺機能検査は,しばしばDLcoの低下を伴う拘束性パターンを示す。
洗浄およびときに生検のために,気管支鏡検査を施行すべきである。気管支肺胞洗浄液では,しばしば好酸球の数および割合の上昇(> 25%)がみられる。生検で最もよくみられる病理組織学的特徴には,急性の器質化びまん性肺胞傷害を伴う好酸球浸潤があるが,肺生検を受けた症例はほとんどない。
[治療]
コルチコステロイドの全身投与
自然に回復する患者もいる。ほとんどの場合,プレドニゾン40~60mg,1日1回経口投与により治療する。呼吸不全のある患者では,メチルプレドニゾロン60~125mg,6時間毎の静注が望ましい。予後は通常良好である;コルチコステロイドに反応し,完全に回復するのが一般的である。胸水は実質の陰影よりもゆっくりと消退する。
52. 脳の局在機能
失外套症候群:大脳皮質の広範な障害。脳幹機能は保たれ生命は維持される。
Locked-in syndrome: 橋の障害による四肢麻痺・球麻痺
Pin-point pupils: 橋の交感神経障害による
失調性呼吸:下部延髄の障害で不規則な呼吸。予後不良の徴候。
中枢性過換気:橋の障害
53. 肝不全
肝の広汎な壊死→肝の解毒・代謝機能の高度な障害→毒性物質(アンモニア・芳香族アミンなど)の蓄積→多彩な精神神経症状出現
AST/ALT:肝細胞の変性・壊死で上昇するが肝予備能の指標とはならない。
ビリルビン:肝細胞の壊死や胆汁うっ滞を反映する。肝予備能とは必ずしも相関しない。
ChE:肝で合成・分泌される酵素で、半減期が短かく肝臓の蛋白合成能の指標である。
アルブミン:肝臓の蛋白合成能の指標であるが、半減期が長いため、判定には適さない。
PT:血液凝固因子は肝で合成され、半減期が数時間と短く肝予備能の最も鋭敏な指標
アンモニア:慢性型では、臨床症状と血清アンモニア値は相関する
遊離アミノ酸:芳香族アミノ酸が増加
動脈血ケトン体比:動脈血中のacetoacetate とβ-hydroxybutyrate の濃度の比をみるもので、肝細胞のミトコンドリア機能を real time に知ることができるすぐれた指標。OG(osmolality gap):血漿浸透圧の実測値と理論値の差で、肝細胞の障害度をよく表現していると言われている。
ウィルス・マ-カ-:ウィルス肝炎では原因ウィルスにより予後が異なり、また感染予防対策上からも必須の検査項目。通常スクリーニングとして、肝炎例ではHA抗体(IgG・IgM)、HBs抗原、HBs抗体を検索。HBs抗原陽性例では、さらにHBe抗原、HBe抗体、HBc抗体を調べる。
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