VNS 迷走神経刺激療法

VNS: 迷走神経刺激療法】
迷走神経刺激療法(vagus nerve stimulation: VNS)
左頚部迷走神経を電気的に刺激することによりてんかん発作を抑制する。


てんかん発作の緩和を目的とした治療で、根本的な治療とはならない。
発作焦点切除が可能な症例に対しては開頭術が第一選択となる。

VNSの適応
  開頭術が適応にならない症例
  開頭術後にも発作が残存した症例

迷走神経の電気的な刺激により脳波変化がもたらされることは古くから示されてきたが、明確な機序は未だ明らかではない。
(S Takamizawa. Jpn J Neurosurg 2015; 24: 705-711)

VNSの安全性と有効性は開頭術と薬物治療の中間に位置する。
(Handforth A. et al.:Neurology 51 :48-55 1998.)

てんかん発作の緩和効果の他にてんかん患者にみられる認知 機能障害・情動障害などの随伴症状に対する有効性が報告されているが明確なエビデンスはない
(Clark KB. Nat Neurosci 1999; 2: 94-8.)

VNS の発作抑制率は治療継続によりおよそ 2 年間増大し、その後安定して継続すると期待できる。VNSが無効と判断するまでに2年間は治療を継続する。
(Elliott RE. Epilepsy Behav 2011; 20: 478-83.)

刺激治療は装置植込の約2週間後から開始する。標準的には0.25 mA500 usec30 Hz30ON5OFFで開始し、副作用の出現しない範囲で発作に対する効果をみながら最大3.50 mAまで上げてゆく。

(DeGiorgio C. Neurology 2005; 65: 317-9.)

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