【持続的空腸投与用レボドパ・カルビドパ水和物配合剤 levodopa carbidopa intestinal gel:LCIG療法 duodopa®︎
【持続的空腸投与用レボドパ・カルビドパ水和物配合剤 levodopa carbidopa intestinal gel:LCIG療法 duodopa®︎】
治療域が狭く、内服治療が困難な患者に適応となる。
Advanced PD
(Antonini A. Mov Disord 2016; 1(4):530-7)
Wearing offの治療アルゴリズム
DBSと適応が被る部分が大きい
→現時点で夜間のduodopaの使用は不可
DBSではdyskinesiaの改善効果がある
両治療共にある程度の認知機能が必要
* 夜間の症状やtroublesome dyskinesiaの改善目的であればDBSの方が良い
* 認知機能障害や精神症状がある患者では難しい
LCIG注入療法により、被験者内のlevodopa血中濃度の変動は平均13%と低い
(Nyholm D. AAPS J:2012)
[LCIG療法の適応]
・ levodopaへの反応(On時Yahr 3以上)
・ ある程度の機会操作が可能(認知機能・巧緻運動)
・ 胃瘻造設可能
・ 意思疎通可能
[LCIGの実際]
全ての抗パーキンソン病薬をL/Cに換算して1日量を投与する
投与液は1mlあたりlevodopa/carbidopa 20mgが含まれる
通常朝5-10ml(L/Cとして100-200mg)/10-30min
その後、2-6ml(L/Cとして40-120mg)/hrで持続投与
1日の最大投与時間は16時間
追加投与は1回あたり0.5-2ml(L/Cとして10-40mg)投与可能。
Max doseは朝15ml, 持続10ml/hrでtotal 100ml/day
*導入日
・朝の投与量
前日朝の投与量に従って算出する。
・ チューブ充填量
NG tube, PEG共にチューブ内に薬液が残存するため充填必要
NG tube 5ml
PEG 3ml
いずれも初日だけでok
前日朝の投与1時間以内の臨床反応が不十分な場合には
前日朝の投与量が6ml以下の場合:1mlずつ増量
前日朝の投与量が6mlを超える場合:2mlずつ増量
・持続投与量
投与量(ml/hr)=(前日16時間のL/C投与量-朝のL/C投与量)mg x0.9÷20÷16
用量調節は0.1ml/hrずつ行う
・ 追加投与
1回あたり1mlから開始
2時間以上開けて
5回/day以上必要な場合には持続投与量を増やす
* dyskinesiaに対する対応
・ 日常生活に支障のないdyskinesia
朝の投与を1ml減量
追加投与を1ml減量
持続投与を0.2ml/hr減量
・ 日常生活に支障のあるdyskinesia
朝の投与を中止し、次回投与時50%に減量
追加投与を中止し、次回投与時に50%に減量
症状が消失するまで中止し、0.4ml/hr減量して再開
各薬剤1mgあたりのLevodopa(mg)
Levodopa
|
||
Pramipexole
|
100mg
|
x100
|
ropinirole
|
20mg
|
x20
|
rotigotine
|
30mg
|
x30
|
selegiline
|
10mg
|
x10
|
amantadine
|
1mg
|
x1
|
L-dopa 300mg = PPx 3mg = Ropinirole 15mg =
Rotigotine 10mg
*Entacaponeの計算
total daily dose = Levodopa量 + Levodopa量x 0.33
(Levodopa 100mg + entacapone 200mg)
Stalevo L50だとこの組成になるためx1.33で計算する。
(Claire L. Mov Dis 2010; 25(15): 2649-2685)
本邦では夜間のduodopa使用が認められていないため、夜間のみ経口摂取で対応可能
実際に45%の症例では夜間のLevodopa使用を中止できなかった。
(Devos D. Mov Disord 241993-1000,2009)
[LCIGの実績]
LCIGを使用することで約6hrs/dayのon timeが得られた。
(urata M, et al:accept 2016.)
海外のデータではon時間は約5時間延長し、troublesome dyskinesiaを伴うon timeは減少した。効果は4周以上にわたって持続した。大きな有害事象は認めなかった。
(Fernandez HH. Mov disord 30:500-509,2015.)
しかし、1年以上継続できなかった例が27%程度ある。
(Devos D. Mov Disord 241993-1000,2009)
(O1anow CW. Lancet Neurol ; 13: 141-149,2014.)
[LCIGのデメリット]
服用したlevodopaが作用するまでの障壁
・ 嚥下
・ 胃で分解
・ 腸管での吸収
・ 末梢での分解
・ BBB
・ 線条体での取り込み
(Poewe W. Clin Interv Aging ;5:229-238, 2010)
進行期PDでは神経終末の脱落に伴いAADC(amino acid decarboxylase)活性が低下してドパミン合成機能が低下し、L-dopaの効果が減弱する。
(村松真一.医学のあゆみ237:247-250,2011)
PDの神経変性はCNSだけでなく末梢自律神経系や脳以外の器官にも及ぶとされている。
(Dajabettei R.
Mov Disord 24; 793-800. 2009 )
LCIGにより総ドパミン投与量が増加し、多臓器の副作用を呈する可能性がある。
約10%の患者では性器障害、幻視、排尿障害などが悪化した。
(Hoing H. Mov
Disord 24:1468- 1474,2009)
LCIGにより血圧低下をきたした。
(Nyholm D. AAPS
J:2012(published online))
Levodopaがフリーラジカル産生を通じた神経毒性を有し、神経変性を促進する
→ELLDOPAでは少なくともdopamineの神経毒性説は否定された。
[高用量L-dopaの使用]
STRIDE-PD study
Levodopa doseが高い方がwearing off, dyskinesiaの発現が多い
400mg/day以下で発現頻度低下
(Warren Olanow C,
et al. Mov Disord. 2013; 28: 1064-1071.)
→抗パーキンソン病薬の使用は必要最低限にすべき。