【ボトックス:ボツリヌス毒素筋肉内注射療法】

【ボトックス:ボツリヌス毒素筋肉内注射療法】
ボツリヌスA毒素を用いる。冷所保存。

致死量は数千単位(1800-3000U/70kgBW

  1回あたりの投与量が多い
  投与回数が多い
  投与感覚が短い
  累積投与量が多い
→中和抗体産生のリスクがある

MGでは禁忌である
ボツリヌス毒素には抗毒素がある
しかし、ボツリヌス中毒出現時には抗毒素の投与は無効

効果は1-2週間で発現し約2-3ヶ月程度持続すると言われている

濃度が濃いと狭い範囲に、薄いと広い範囲に効果を認める。
→薄い方が副作用が多い

botoxで有意に歩行障害が改善しあきらかな有害事象を認めなかった。
(Koman LA. Pediatr Orthhop 2000; 20: 108-115)

[適応疾患]
脳性麻痺(CP)などに伴う痙縮など、眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、ジストニア

[痙縮:spasticity]
DTR亢進を伴うUMNの障害
Botox適応:        局所の痙縮で関節可動域がある程度保たれる。
                                ADL改善が見込まれる。早期開始が目標とされる。
上肢:total 240Uまで投与可能
下肢:total 300Uまで投与可能

[眼瞼痙攣]
一次性
二次性:drug induced, CPなど

局所性dystoniaと考えられている。
→基底核障害で生じる

40-60代の女性に多い
眼瞼違和感、不快、羞明などの症状で発症し
両側の随意開眼ができなくなる

1眼あたり6部位に筋注
1.25-2.5U/部位で開始し、total 15-30U使用する
max 45U使用可能
  上眼瞼挙筋に注射すると開眼困難となるため避ける

[片側顔面痙攣]
動脈による顔面神経の圧迫が原因とされている


40-60代女性に好発する
CT, MRIで器質的疾患の除外が必要
Ex: C-P angle tumorなど

顔の攣縮筋に投与する
複数筋の攣縮あれば分割で投与する

ex)
口角挙上:大頬骨筋
口角を横に広げる
→口輪筋(外側上方)、笑筋



初回10U投与
max total 20Uまで投与可能

[Dystonia]
dystoniaの定義は一定しない
dystoniaの特徴を以下に挙げる
  定型性:いつも同じような動き
  動作特異性:特定の動作・環境で出現
  sensory trick:特定の感覚刺激により改善する
  共収縮:主動筋と拮抗筋が同時に収縮する
  早期効果:早朝には症状が軽い
  オーバーフロー:ある動作の際にその動作と関係のない筋が不随意に収縮

[痙性斜頸]
頸部筋の異常収縮により頸部不随意運動や頭位異常をきたす疾患
ジストニアが原因であり基底核に責任病巣があるとされている
30-50代に多く、眼瞼痙攣や片側顔面痙攣よりやや若い
あきらかな性差はないとされている

緊張している筋に投与
30U/筋まで投与可能
初回はtotal 60Uまで投与可能
漸増しmax total 240Uまで投与可能
  回旋:同側のsplenius, 対側のSCM
  側屈:同側のTpz, splenius, SCM, levator scapulae, Scalene
  前屈:両側のSCM, Scalene
  後屈:両側のTpz, splenius
  肩挙上:同側のlevator scapulae, Tpz

  特殊ケース
  側弯:凹側の傍脊柱筋

傍脊柱筋は強力な筋肉であるため、100-150U/箇所でIM

  複合パターン
それぞれの組み合わせでIM



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