脳微小出血 CMBsと抗血栓薬、脳卒中リスク

[微小脳出血 MBs]
MBsの病理は微小脳出血によるヘモジデリンの沈着
高血圧性と脳アミロイドアンギオパチー(CAA)によるものに分けられる
(山口修平. 分子脳血管病 2015;14:42)


CMBs は一般成人の 5.0%に存在する
脳卒中患者では高頻度
脳梗塞患者(33.5%)よりも脳出血患者(60.4%)の方が高頻度

脳梗塞においては心原性脳塞栓症(0~30%)やアテローム血栓性脳梗塞(21~23%)よりもラクナ梗塞(23~62%)において高頻度に存在する
(Cordonnier C. Brain 2007;130:1988–2003)

CAAの診断にはBoston criteriaが用いられる。
(Knudsen KA. Neurology 2001;56:537-539)

CAAは高血圧性脳微小出血と比べ高率に脳卒中関連死に関与する。
(Bokura H .Stroke 2011;42:1867)

[MBsと抗血栓治療の関係]
MBsと抗血栓治療の関係に明確なエビデンスはない。
(Wang Z. Stroke 2014; 45: 2811–2817)

  Rotterdam study
クロピドグレルでCMBsが増加する
(Darweesh SK. J Am Heart 2013;Assoc 2:e000359)

  Rotterdam scan study
抗血小板薬でCMBsは優位に増加した
抗凝固薬とCMBsとの関係は指摘できなかった。
(Vernooij MW. Arch Neurol 2009;66: 714-720)

  脳梗塞患者では抗血小板薬とCMBsの関係は指摘できなかった。
脳出血患者では抗血小板薬とCMBsは相関した。
(Naka H. J Stroke Cerebrovasc Dis 2013;22: 834-840)

  脳出血患者では抗血小板薬・抗凝固薬の内服により有意にCMBsが増加した。
(Lovelock CE. Stroke 2010;41: 1222-1228)

一方で抗血栓治療とCMBsに相関がないとする報告もある…
(Orken DN. Stroke 2009;40: 3638-3640)
(Yamashiro K. J Stroke Cerebrovasc Dis 2014; 23: 433-440)
(Kim CK. J Neurol Sci 2012; 319: 56-58)
(Nishikawa T. Neurol Med Chir 2009;49: 333–338; discussion 338–339)

[MBsと脳卒中発症の関係]
CBsの存在は脳卒中リスクを増加させる。
(Lovelock CE. Stroke 2010;41: 1222-1228)
アスピリン内服中の脳出血発症リスクはCMBsの数が多いほど高い。
(Biffi A. Neurology 2010; 75: 693–698)

CBsが5個以上では抗血栓薬による再発予防よりも出血リスクが上回る
(Soo YO. J Neurol 2008; 255: 1679-1686)

CAAでは抗血小板薬の投与は慎重に行い厳格な血圧管理を必要とする。
(山口修平. 血圧 2016; 23(9):651-655)




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