[研修医必須項目] 1-23 嘔気・嘔吐
<嘔気・嘔吐>
【定義】
吐きそうな切迫した不快な自覚症状、および胃内容物を反射的に口から吐き出すこと。
【分類】
*腹部疾患 *神経疾患 *心血管疾患 *めまい疾患 *代謝内分泌疾患
*薬物・毒物 *感染症 *心因性
【原因/鑑別診断】
*腹部疾患:
腸閉塞・尿管結石による激痛・胆石症・便秘・虫垂炎や胆嚢炎・腸管虚血
消化管潰瘍・膵炎・癌・腹膜炎・後腹膜病変
*神経疾患:
ICP上昇(髄膜炎・脳炎・頭蓋内出血・脳浮腫・水頭症)・片頭痛・痙攣・脱髄疾患
自律神経障害
*心血管疾患:
心筋梗塞・心不全
*めまい疾患:
BPPV・小脳梗塞・Meniere病・前庭神経炎
*薬物・毒物:
NSAIDs・アスピリン・心血管動作薬・テオフィリン・鉄剤・抗癌剤・アルコール
重金属・糖尿病治療薬・麻酔・痛風治療薬・抗菌薬・中枢神経作動薬
*感染症:
急性胃腸炎・敗血症・感染症全般
*心因性:
双極性障害・摂食障害
*その他:
周期性嘔吐症・vit.A過剰症・迷走神経切断・放射線治療後・飢餓・緑内障
【診察・検査】
腹部エコー・腹部Xp・血算・電解質・ケトン体等の検体検査・CT・MRI検査
眼底検査・眼圧測定・薬物血中濃度の確認
【治療】
抗癌剤投与例の制吐剤はドパミンD2-R拮抗薬が頻用される。さらに強い制吐作用はセロトニン5HT3 R拮抗薬と言われ、シスプラチンなど嘔気の強い化学療法にも用いられる。
ヒスタミンH1 R拮抗薬は副作用に眠気がある他、抗コリン作用を持ちわせる薬剤が多いた緑内障や前立腺肥大には注意が必要。
【経験した症例】
突然の嘔気で来院した●歳女性。嘔気の他、下痢を認めているがその他バイタルサインに問題はなく、呼吸器症状や下血・嘔吐などは認めなかった。問診により、来院前日に外食し、焼き鳥を食べたとのことであった。生ものや、生焼けの肉類などは摂取していないとのことであり、同じものを食べた人に特に症状は見られなかった。ウイルス性胃腸炎の可能性があるため、嘔気に対しプリンペランを投与し、整腸剤を処方し帰宅となった研修医必須項目topへ戻る
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