[研修医必須項目] 1-11 めまい

<めまい>
定義
 回転性めまいと非回転性めまいがある。
 回転性めまいは、患者は静止しているが周囲が回って見える錯視体験。三半規管や耳石器、前庭神経の急性障害が原因。
 非回転性めまいは体が前後左右に揺れるように感じる視覚運動体験。脳神経系、筋骨格系、三半規管の障害で生じる。
分類
回転性・非回転性の2分類。
実施すべき検査
 Frenzel眼鏡を使用し眼振の様子を観察する。頭位により眼振が出現しないかもチェックする。カロリックテストも有効。小脳失調の神経所見もとる。蝸牛神経障害がないか聴力も身体所見か生理機能検査で検査する。
 また、『突然の』めまいの場合脳血管障害をルールアウトするため頭部CTMRI撮影も行う。
【鑑別疾患】
*良性発作性頭位眩暈症(BPPV):耳石器障害が原因。頭位変換で回転性めまいが生じる。
                眩暈は60秒以内のもの。
数週間で自然経過するが、理学療法で治療も可能である。
Meniere病:内リンパ水腫が原因。30分から数時間持続する激しい眩暈。
反復するのが特徴であり、蝸牛症状も随伴する。
*突発性難聴:1回のみの激しい眩暈発作で、聴力障害を伴う。
*前庭神経炎:前庭神経の炎症が原因の眩暈とされている。蝸牛症状(耳鳴り・難聴)はない。一過性で、先行する感冒症状は無いことも多い。数週間で軽快する例が多い。
*悪性外耳炎、耳性ヘルペス:緑膿菌や帯状疱疹ヘルペス感染による。
*薬剤性
治療
BPPV:経過観察や理学療法、
*突発性難聴:ステロイド滴下を行う。
Meniere病:生活指導、心理的アプローチ、浸透圧利尿薬、内耳循環改善薬、抗不安薬、
       Vit. B12、漢方薬
経験した症例

 高血圧の既往のある歳女性。ベッドから起き上がろうとしてめまいを自覚し、不安に思ったため来院した。めまいは非回転性であり、来院時は消失していた。神経診察では有意所見は認められず、嘔吐や難聴はなかった。また特定の頭位でめまいが誘発されることはなく、耳鼻科疾患や脳血管疾患は否定的であった。来院時の収縮期血圧が90mmHg台とやや低く、起床時に発症しためまいということから起立性低血圧がもっとも疑われ、近医より処方されていた降圧薬の調整が必要と考えられた。

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