[研修医必須項目] 1-28 腰痛

<腰痛>
【定義】
 腰部に感じる痛みや張りなどの不快感の総称。
【分類】
 *筋骨格系 *内科的疾患
【原因/鑑別診断】
*筋骨格系:
  筋筋膜性腰痛、腰椎圧迫骨折、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症
*内科的疾患系:
  癌骨転移、骨髄腫、化膿性脊髄炎、硬膜外膿瘍、強直性脊椎炎
【診察・検査】
 腰痛red flag sign
1. 最近の外傷歴、50歳以上
2. 原因不明の体重減少
3. 免疫抑制状態
4. 癌既往歴
5. 原因不明の発熱
6. 静注薬使用
7. 長期ステロイド使用、骨粗鬆症
8. 70歳以上
9. 進行する、もしくは活動できないほどの局所的な神経脱落症状
10.期間が6週間以上
*バイタル:
 発熱に注目。しかし発熱(+)の感度は、脊髄炎:27%、骨髄炎:50%、硬膜外膿瘍:83%
特に結核性は発熱ないことが多い。
 また、急性脊髄損傷の神経原性ョックではwarm shockが認められる。
*病歴:
 一般的な腰痛は2週間以上続くのは14%のみと言われている。
長期間継続する腰痛は悪性腫瘍・結核性骨髄炎・慢性疼痛性障害・うつ病を疑う。
 また、悪性腫瘍による腰痛は夜間にあることが多い。
 ベッド上安静が奏功しないのも悪性腫瘍疑う際感度90%以上、特異度46%
 ステロイド使用・高齢者である場合、画像で否定されるまで圧迫骨折は念頭におく。
*診察:
 脊椎棘突起叩打痛→椎体感染症の診察。感度86%、特異度60%
  SLRテスト→感度6498%、特異度1164%
 馬尾症候群→腰椎椎間板ヘルニアの12%。これが認められる場合は緊急手術適応。
       膀胱の緊満の有無(感度90%)、肛門括約筋反射(感度6080%)
【治療】
 上記原疾患が特定できた場合は原疾患治療。
 急性腰痛の場合、安静を第一とする。 
腰椎の安静には下肢を屈曲させて背中を若干丸めた側臥位がよい。安静がとれないときにはさらし布や簡単なコルセットなどを着用する。
 傍脊椎部に限局した強い圧痛点がある患者には椎間関節や筋肉内へのブロック注射(0.51.0%キシロカイン注5‐10cc+時にステロイド少量、またはノイロトロピン注など)を行う。また、痛みの強いときには仙骨裂孔からの硬膜外ブロック注射も有効。
慢性腰痛には作業動作の指導や腰椎固定装具(軟性コルセット)を着用させ、腰痛体操や温熱療法などの理学療法を勧める。
 予防は、体幹支持筋群を強化、作業前には十分なストレッチングを行う。
【経験した症例】

 慢性腎不全の歳男性。腰痛・右下肢疼痛を訴え、炎症反応高値であったため入院となった。画像検査では明らかな骨折や膿瘍は認めないものの、腰椎MRIにて脊柱管狭窄症があり保存的加療の方針となったが、その後も疼痛は継続していた。腰椎穿刺を行ったところ、細胞数の上昇・糖の低下と細菌感染を疑う所見があり、さらに経過中発熱、シバリングが出現しCTにて腸腰筋膿瘍を認めた。クラビット・ダラシンの投与を行ったが、その他下血や血管炎、さらに心機能の低下などが合わさり、バイタルを保てなくなり死亡した。


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