[研修医必須項目] 1-21 呼吸困難

<呼吸困難>
定義
 呼吸時の不快な感覚
分類
*換気血流不均衡
右左シャント
拡散能低下
肺胞低換気
原因/鑑別診断
*換気血流不均衡:COPDPTE・間質性肺炎
*右左シャント:肺炎・ARDS・肝肺症候群
*拡散能低下:間質性肺炎・肺水腫
*肺胞低換気:神経筋疾患・肥満性低換気・気道狭窄
*その他:気胸・過換気症候群・貧血・アシデミア
実施すべき検査
*まずバイタル・身体診察
⇒聴診・打診・呼吸観察(胸郭の動きなども)・呼吸数観察・頸静脈観察
 感染徴候が無いかもチェック。眼瞼結膜で貧血もチェック。
*採血・血ガス
⇒血ガス採血を行い、血液の酸素化やpHをチェック。
 PaO2/FiO2AaDO2を計算。
⇒胸部Xp撮影
 可能な限り2方向立位撮影。気道内異物疑われた際は最大呼気・最大吸気での撮影も。
⇒必要によりCT撮影(PE疑いは造影)
⇒肺水腫疑われた時は心エコーも。
治療
 原則原因疾患に対する治療を。
 酸素投与は必須。(酸素投与の禁忌はパラコート内服のみ)
 CO2ナルコーシスが疑われた際はカヌラ0.5L~酸素投与開始し、ナルコーシスに陥らないよう注意しながら酸素微増していくが、低酸素状態が改善しない場合は用手換気・気管挿管を覚悟して高酸素投与に踏み切るべき。
 呼吸数30回以上で酸素化保てない場合、呼吸数5/min以下まで低下した場合は気管内挿管を考慮する。
 肺水腫による低酸素はNIPPVなどを開始する。
経験した症例
 血痰を契機に右肺がんと診断され化学療法を行っていた歳女性。1st lineとしてゲフィチニブを投与されていたが、その後精査にて右肺内転移、両側胸水、胸膜播種を認めていた。その後も2nd lineとしてシスプラチン+ペメトレキセドが投与されたがCTにて右胸水の増加を認めており、今後は入院の上胸膜癒着を施行する予定であった。しかし夜中に呼吸困難が増悪し救急外来を受診したところ、胸部X線にて更なる右胸水の増加が見られ、胸水コントロール目的に入院となった。胸水穿刺を施行し、滲出性胸水430mlの排液を認めたが排液中に呼吸困難を訴えており、胸膜癒着は困難と考えられ3rd lineとしてゲフィチニブ+ベバシズマブを開始後、有害事象がないことを確認し退院となった。


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