[研修医必須項目] 13-2 痴呆

<痴呆>
【疾患定義】
痴呆とはいったん正常に発達した知能が後天的原因によって低下しそれとともに感情障害あるいは人格障害を伴う病態をさす

【分類・原因】
 変性疾患:痴呆を主症状とするもの(Alzheimer型老年痴呆、Pick病)
系統変性疾患に伴う痴呆(parkinson病、Huntington病 進行性核上麻痺)
 続発性の痴呆:血管障害、低酸素症、血液の異常、内分泌・代謝性疾患・中毒、感染症、腫瘍外傷、正常圧水頭症

【鑑別診断】
まず、原因疾患の有無を確認する。内科的原因疾患を認めない場合は、他の精神疾患との鑑別を行う。特に、うつ病との鑑別は重要である。うつ病は痴呆のような症状を呈することがあり、抗うつ薬内服で症状改善することでうつ病との鑑別を行う。また、うつ病では脳波と頭部MRIで正常であることが多いことも鑑別要点である。

【実施すべき検査】
知能検査、長谷川式簡易知能評価スケール等の検査を行う。

【治療方針】
基礎疾患がある場合はその治療を行う。脳血管性痴呆では脳血管拡張薬や脳代謝賦活薬などを用いることが多い。

【経験した症例】

右大腿骨頚部骨折術後の歳男性。リハビリ目的で転院となったが入院中に、意識レベルが徐々に低下し、食事量が低下した。慢性硬膜下血腫の既往があり、心筋梗塞に対しバイアスピリンを内服していたため頭部CTを施行したところ、両側慢性硬膜下血腫が認められた。より血腫の大きかった左側の尖頭ドレナージを施行したが、意識レベルはほとんど改善しなかった。


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