[研修医必須項目] 7-1 食道・胃・十二指腸疾患
<食道・胃・十二指腸疾患>
【定義】
急性胃粘膜病変:
突然の上腹部痛・嘔吐・消化管出血などで発症し、胃内視鏡検査においてびらん、出血、発赤、浮腫を認める急性胃炎だけでなく、急性潰瘍も含む広い概念。
【分類】
*上気道感染症 *肺炎 *院外肺炎 *院内肺炎
【原因/鑑別診断/検査】
さまざまな原因で生じる。
熱傷や外傷などの身体的ストレス、精神的ストレス、さらに消炎鎮痛薬やステロイドホルモンなどの薬剤、アルコールなどが主な病因となる。
病変は、誘因の除去により急速に回復するためできるだけ早期に内視鏡検査を行うことが診断上で重要。
身体所見としては、胃部不快・心窩部痛が多く、次いで食欲不振・胸やけ・げっぷが多い。重症例では吐・下血がみられる。
腹部の理学的所見では,心窩部の圧痛や抵抗を認めるが自覚症状の割には軽度のことが
多い.
【治療】
*一般療法:
治療の原則は誘因の除去である。
精神的ストレスや,厳しい訓練などの肉体的ストレスが誘因と考えられるものは、それらの除去に努める。原因の薬剤が特定されれば,中止する.自覚症状と内視鏡所見の軽いものは,安静,食事療法で軽快する.急性期にはアルコール,タバコ,カフェイン,香辛料などの胃粘膜を刺激するものは禁止し,消化のよいものを摂取させる.
*薬物療法:
自覚症状の強い症例、また内視鏡で出血びらんを認める症例や急性潰瘍を認める例では,胃潰瘍に準じてH2ブロッカーやプロトンポンプ阻害薬と胃粘膜防御因子増強薬を併用する。消化管出血をきたしている場合には,必要に応じ内視鏡的止血法を行う。しかしながら重篤な基礎疾患を有する場合は内科的に止血が困難であり、外科手術を要するものがある.
【経験した症例】
●歳男性。貧血を認めたため精査目的で上部消化管内視鏡検査を行ったところ胃がんを認めESDを施行した既往がある。今回フォローアップ目的で再度上部消化管内視鏡検査を行ったところ、早期食道がんを認めた。ESDを行い、病理にて扁平上皮癌と判明した。術後明らかな合併症は認められず、飲水から徐々に食上げを行い、術後14日目に上部消化管内視鏡検査を行い明らかな出血は認められなかったため退院となった。