[研修医必須項目] 1-32 血尿
<血尿>
【定義】
血尿は腎・尿路の何らかの病態により出血し、尿中に赤血球が混入した状態。
尿沈渣でRBC:2~5個/HPF以上が確認される状態。
【分類】
*顕微鏡的血尿 *肉眼的血尿
*一過性血尿 *持続性血尿
*糸球体性血尿 *非糸球体性血尿
【原因/鑑別診断】
*血尿の確認:
試験紙法、尿沈渣⇒尿潜血(+)&尿沈渣RBC(-):ヘモグロビン尿orミオグロビン尿
薬剤:リファンピシン、ドキソルビシン、クロロキンなどで尿着色(+)
偽陰性:尿中vit. C(+)、イブプロフェン、リファンピシン
*持続性:
単発は健常でもよく見られる。
持続性血尿は9.8%に腎疾患・泌尿器疾患あり。
無症候性血尿は年齢上昇するほど悪性腫瘍の可能性が高くなる。
*重篤疾患:
腎細胞癌、膀胱癌、前立腺癌、大動脈解離、腎梗塞、感染性心内膜炎
急速進行性糸球体腎炎、血管炎、溶血性尿毒症症候群
*common
disease:
尿路結石、尿路感染症、前立腺肥大、糸球体腎炎、IgA腎症
【診察・検査】
病歴・身体診察
尿検査、試験紙法、尿沈渣、エコー、CT、採血、尿細胞診、膀胱鏡、尿培養、血培
IVR、腎生検
【治療】
高度の血尿によるショック,貧血,膀胱タンポナーデのときにはまずその治療、救急的処置を行う。
A.薬物療法
内科的対症療法として抗プラスミン薬、血管強化薬の投与を行う。
処方例
トランサミンカプセル(250mg)3‐6カプセル
アドナ錠(30mg)3錠(分3)
B.泌尿器科的処置
1.膀胱タンポナーデの処置
高度の出血で膀胱内に凝血塊が充満し尿閉となった状態で,まず金属カテーテルや22F多孔式尿道カテーテルで凝血塊を洗浄吸引を繰り返しながら除去する.血尿が希薄となったら内視鏡検査を行い,出血の部位と原因が確認できれば止血操作(内視鏡的電気凝固術)をする.
2.尿路内薬液注入療法
(a)特発性腎出血に対し尿管カテーテル法により腎盂内へ硝酸銀⇒液(5,000‐500倍濃度)を注入する.
(b)放射線性膀胱炎による膀胱出血に対しマーロックス⇒液60ml1時間膀胱内注入を行う(保険適用外).
3.塞栓療法
腎癌,腎外傷,腎動静脈瘻,膀胱癌により高度出血が持続する場合に,支配動脈の塞栓を行う.
【経験した症例】
特に既往のない●歳男性。大学生ころより血尿・蛋白尿を指摘され、精査目的で腎生検を行ったところIgA腎症と判明した。両側口蓋扁桃摘出術後、ステロイドパルス療法を施行するため入院した。入院時の検査では明らかな血尿や蛋白尿は認められず、両側口蓋扁桃摘出がもっとも有効であったと考えられた。3日間のステロイドパルス療法施行後、PSL25mg/日の後療法を導入し退院した。