[研修医必須項目] 8-1 腎不全

<腎不全>
【分類】
*急性腎不全 *慢性腎不全 *腎前性腎不全 *腎後性腎不全 *腎性腎不全
【原因/鑑別診断/検査】
*急性腎不全
脱水・薬剤・感染症・尿閉・膠原病など
*慢性腎不全
糖尿病・慢性糸球体腎炎。
それぞれが全体の35%を占める。
腎硬化症と嚢胞腎が数%前後であり、これらで全体の80%以上を占める。

【治療】
*急性腎不全:
尿毒症症状の正常化
 まず生命の危機に対応する処置が必要で,呼吸循環状態の維持,循環血漿量の減少に対する輸液や輸血,電解質異常の是正,浮腫・溢水の治療,中枢神経異常への対応,などが最優先される.透析治療の時期を判断するのも重要である
原因病態に対する治療
 腎後性腎不全では,導尿,膀胱穿刺,尿管カテーテル,経皮的腎瘻造設などにより尿のうっ滞を排除する。循環血漿量の不足には輸液を行うが,利尿が確認されるまではカリウムを含まない輸液剤を選択し、短期であれば5%ブドウ糖液と生理食塩液の等量混合液が安全である。
原因薬剤は直ちに中止し、薬剤アレルギーでは多めのステロイドを投与する場合がある.急速進行性腎炎や膠原病による腎不全では,副腎皮質ステロイド,免疫抑制薬や血漿交換法などで原疾患の治療を行う。
十分な栄養補給
 異化亢進と合併症を予防し,速やかな回復をはかるには,十分な熱源と栄養の補給が必要である。

*慢性腎不全
慢性腎不全は基本的には非可逆性で,最終的には尿毒症から死または慢性透析に進行する疾患である。そのため,腎機能の回復を目指す急性腎不全の治療と異なり,慢性腎不全ではその後の腎機能の悪化を防ぐことと,低下した腎機能の状態で症状の出現を防止することを治療の目的とする.
【経験した症例】

 15年来の糖尿病がある歳男性。蛋白尿・血尿を認めていたが、徐々にCreが上昇し下腿浮腫を認めるようになった。Xpでも心拡大を認めるようになり、うっ血状態と考えられたため教育入院し、血圧コントロール、利尿剤の投与、食事療法を行ったものの、腎機能は徐々に悪化し嘔気・下痢などの尿毒症症状を認めたためシャント造設し血液透析導入に至った。透析導入後、血圧は下がり四肢浮腫も改善し、透析導入による合併症も認められず退院となった。

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