[研修医必須項目] 1-14 視力障害

<視力障害・視野狭窄>
定義・分類
*視力障害:ものの形などを見分ける力が低下している状態。遠見視力と近見視力がある。
*視野障害:正面を見ている状態で、中心から耳側方向90°、鼻側・情報に60°、下方に70°の範囲より視野が狭くなった状態。狭窄や中心暗転がある。
【鑑別疾患】
 網膜中心動脈閉塞症、静脈閉塞症、網膜動脈分枝閉塞症、視神経炎、虚血性視神経症、急性閉塞隅角性緑内障、ブドウ膜炎、硝子体出血、網膜剥離、新生血管型加齢性黄斑変性症、脳卒中、一過性脳虚血発作、転換ヒステリー、詐病
【検査】
 視力検査、結膜検査、拡大鏡、細隙灯顕微鏡、眼圧検査、視野検査、結膜診察、瞳孔診察、外眼筋診察、眼底検査、フルオレセイン蛍光造影、網膜電図検査、超音波検査、CTMRI
【治療】
 眼科にコンサルトする。しかし、視野以外の神経学的所見を伴い、最高24時間持続する両眼性視野障害は視覚皮質の脳虚血発作を疑うため、CTMRIを撮影する。これら画像検査は頭頸部腫瘍による視力・視野障害の検索にも役立つ。脳血管障害を認めたらこれの治療を急ぐ。また、急性緑内障や網膜中心動脈閉塞症など緊急疾患は、眼科が即対応できない場合の治療は、以下のとおり。
*急性閉塞隅角性緑内障:マンニトールなど高浸透圧利尿剤投与やアセタゾラミド(ダイアモックス)経口内服で眼圧低下を図り、縮瞳薬で房水流出路を開通させる。その後根治的に手術となる。
*網膜中心動脈閉塞症:網膜は虚血から1時間で機能不全となる。すぐに眼球マッサージ            
           を行い、可能ならウロキナーゼなど血栓溶解療法を行う。
経験した症例
 10年来の2型糖尿病の既往がある歳男性。2年前より視力の低下を自覚し、糖尿病内科を受診したところ、採血にてインスリン分泌能の低下があり、インスリン加療が開始された。視力障害については精査したところ両眼糖尿病性網膜症であり、まずは右目に対し網膜光凝固を行い、今後も眼科にて加療を続けていく方針となった。



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