サルコイドーシス

【サルコイドーシス】
原因不明の非乾酪性肉芽種を病理学的特徴とする全身疾患。

[疫学]
40歳以下の成人に多い
日本人では10万人あたり約8
黒人では10万人あたり35人と多い。

【神経サルコイドーシス】
臨床症状としては脳神経>髄膜・硬膜>末梢神経・筋
神経サルコイドーシスの約50%に脳神経障害を認める。

・脳神経
脳神経の中では顔面神経・視神経が多い。
次いで聴神経、動眼神経、嗅神経など。

・髄膜、硬膜
無症状が多い。
無菌性髄膜炎・肥厚性硬膜炎を呈する場合もある。
6-30%に水頭症(交通性・非交通性)を呈する。

・視床下部、下垂体
尿崩症・下垂体機能低下症

・大脳皮質
痙攣や認知症

[検査所見]
MRI
病変はT1WI LIA, T2WI HIAを呈する。造影効果+
下垂体、漏斗、視床下部に造影効果のある嚢胞性病変
紡錘形の脊髄の腫大(頚椎・上部胸椎に好発)

・脳脊髄液検査
約半数は正常である。
通常cell(特にリンパ球)上昇、蛋白上昇、初圧上昇、
OCB陽性、IgG index上昇
sIL-2Rの増加
ACE上昇(感度24-55%

[診断基準]
1.definite
神経・筋に組織所見が得られ検査項目のうち2項目以上を満たす。
2.probable
神経・筋以外の多臓器に組織所見を認め、検査項目のうち2項目以上を満たす。
3.possible
検査項目のうち2項目以上を満たすが、組織所見を確認できないもの。

*検査所見
(1)両側肺門リンパ節腫脹
(2)ACE上昇
(3)ツベルクリン反応陰性
(4)ガリウム67 citrateシンチグラムにおける集積所見
(5)BALFでリンパ球増多orCD4/8比の上昇
(6)血清or尿中カルシウムの上昇

神経・筋サルコイドーシスの診断基準
(日呼吸会誌 2007;46:768-80)

【サルコイドーシスニューロパチー】
[検査所見]
血液ACEの上昇
ACE上昇:珪肺、結核、Hansen病、肝炎、甲状腺機能亢進症など
*髄液ACEは神経サルコイドーシスの指標にはならない。

血清lysozyme上昇
ACE正常、lysozyme上昇のサルコイドーシスもある。

血清sIL-2Rが高値となることがあるが非特異的な所見である。

髄液IgA indexが有効であると報告がある。

CD4/8比が上昇する
BALFの他に髄液でも上昇する。

画像検査においてはGaシンチグラフィよりもFDG-PETが有効である。

[治療]
ステロイドが有効である。PSL 30-40mg/日 連日
漸減し、2年間は15-20mg/dayで投与継続する。
症状に合わせて漸減するが、漸減により再発する例が多い。
ステロイド無効時には免疫抑制剤としてシクロフォスファミド、アザチオプリン、メトトレキサート、ミコフェノール酸などを用いる。




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