嚥下機能の評価 誤嚥性肺炎の予防 嚥下の解剖 ケア

【嚥下機能】
[嚥下]
1.先行期:食べ物を認知する
2.準備期:食べ物を口に取り込む
3.口腔期:咀嚼する
4.咽頭期:食べ物が咽頭を通過する
5.食道期:食べ物が食道を通過する

[解剖]
1.口腔の解剖
2.口腔〜喉頭の解剖
(1)口蓋:口蓋垂の挙上により鼻咽腔の閉鎖を行う
(2)咽頭:嚥下時に前上方に挙上し輪状咽頭筋が弛緩し食道入口が開大
(3)喉頭:嚥下時に前上方に挙上し声門を閉鎖することで誤嚥を予防


[嚥下機能の評価]
1. 反復唾液嚥下テスト(repetitive saliva swallowing test: RSST)
30秒間で何回唾液を嚥下できるか。
検者は人差し指で舌骨を、中指で甲状軟骨を触知する。
3回以上の場合正常と判定する。

2. 改定水飲みテスト(modified water swallowing test: MWST)
シリンジで3mlの冷水を嚥下させる。
検者は人差し指で舌骨を、中指で甲状軟骨を触知する。
嚥下の後「えー」と発声させ湿性嗄声を確認する。
1回目でむせこみや湿性嗄声がなければ2回目を行う。
<評価基準>
1点:嚥下なし
2点:嚥下あるがむせこみ/呼吸切迫+
3点:嚥下あり、呼吸は良好だがむせこみ/湿性嗄声+
4点:嚥下あり、呼吸良好、むせない
5点:30秒以内に2回以上のむせない嚥下が可能
  3点以下の場合は誤嚥の可能性がある。

3. フードテスト
スプーン1杯のゼリーや液状食品を食べさせる。
口腔内に残留があると高確率(70%)に咽頭残留が疑われる。
1回目でむせこみや湿性嗄声がなければ2回目を行う。
<評価基準>
1点:嚥下なし
2点:嚥下あるがむせこみ/呼吸切迫+
3点:嚥下あり、呼吸は良好だがむせこみ/湿性嗄声+
4点:嚥下あり、呼吸良好、むせない
5点:30秒以内に2回以上のむせない嚥下が可能

4.嚥下内視鏡検査
内視鏡を用いて嚥下を直接観察する。
5. 嚥下造影検査(VF)
造影剤入りの食品を実際に嚥下させて嚥下機能の評価を行う。
嚥下のパターン
(1)正常嚥下
(2)喉頭侵入:食物が喉頭に侵入するが、声帯を超えないうちに喀出される。
(3)喉頭蓋残留:誤嚥を引き起こす可能性があるため吸引が必要。
(4)梨状陥凹残留:生理的に残留する部位。食道入口部開大不全でも残留する。
(5)誤嚥:食物が声帯のレベルを超えて気管内に侵入する。

[嚥下障害に対するケア]
(1)食形態の検討
水分よりもとろみをつけたほうが誤嚥しにくい。
座位をとらせて食事をする。
(2)口腔ケア
嚥下機能改善・誤嚥性肺炎予防に。
(3)リハビリテーション
STに評価・リハビリを依頼する。


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