[B6] 脊髄小脳変性症 (SCD) ガイドライン

【脊髄小脳変性症:SCD
[分類]
1.孤発性: MSA, CCA
2.遺伝性 : 優性遺伝性SCD, 劣勢遺伝性SCD
SCDの有病率は10万人あたり10人程度。
孤発性と遺伝性の比は、7:3程度。

[優性遺伝性SCD]
遺伝性SCD90%を占める。
多くは、CAGリピートの異常な伸展が原因である。
→表現促進(anticipation)を来たす。
日本での頻度は、MJD(SCA3), SCA6, DRPLA, 16q-ADCAの順に頻度が高い。

CAGトリプレットリピートを来たす疾患
SCD, ハンチントン舞踏病, 球脊髄性筋萎縮症など9疾患

1. 病型
1) MJD
1型:若年発症で錐体路症状とジストニアなどの錐体外路症状を中心とする。
2型:成人発症で眼振と失調を中心とする。
3型:高齢発症で末梢神経障害や筋萎縮を中心とする。
共通所見として顔面筋の線維束性攣縮やミオキニア・びっくり眼がある。

2) SCA6
小脳失調症状のみを呈する純粋小脳型。

3) DRPLA
*発症年齢による分類
(1)若年型:てんかんやミオクローヌスなどの不随意運動を主体とする。
(2)早期成人型:若年型と遅発成人型の中間の性質を示す。
(3)遅発成人型:小脳失調症状を主体として、舞踏様不随意運動が加わる。

  症状による分類
(1)ミオクローヌスてんかん型(PME)
(2)小脳失調・不随意運動を主体とする型(non-PME)

*父親から遺伝子変異を受け継ぐ場合は表現促進が顕著。(父:30年、母:15年)
*重症型/若年型の方がCAGリピート数が多い。

4) 16q-ADCA
小脳性運動失調が緩徐に進行する純粋小脳型。
60歳前後での発症。

2. 診断
家族歴のある進行性の小脳失調症状を主体とする多彩な症状を呈する。
画像上は小脳/脳幹の萎縮を示すことが多い。診断は主に遺伝子検査で行われる。

3. 鑑別
治療可能な疾患として、アルコール性・薬剤性(抗てんかん薬・リチウム・抗うつ薬など)・中毒性・甲状腺機能低下症・ビタミン欠乏症(Vit E, B12)・免疫介在性(抗GAD抗体・セリアック病)などが挙げられる。
その他、傍腫瘍症候群や感染後脳症も鑑別にあがる。

4. 治療
遺伝性脊髄小脳変性症に対する根治療法は存在しない。
(1)薬物療法
酒石酸プロチレリン(ヒルトニン)
タルチレリン水和物(セレジスト)
TSH分泌低下を来たすことがあるため注意が必要。

(2)その他対症療法
抗パーキンソン病薬:パーキンソニズムに対して
自律神経調節薬:OHなどの自律神経症状に対して

リハビリテーション

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