[B7] リウマチ性多発筋痛症(PMR)

【リウマチ性多発筋痛症(PMR)】
[疫学]
高齢者に発症。50歳未満(特に若年者)では診断しない。

[症状]
(1)  急性発症の両側性筋痛
緩徐発症や片側性・遠位のみの場合は否定される。
数年持続する場合や、疼痛は改善し炎症反応高値のみ持続する場合などがある。
朝のこわばりを伴っても良い。

(2)  発熱
一般的に高熱ではなく、消耗性ではない。

頻度の低い症状
(3)  可逆性認知機能障害
ステロイドによりSPECTで改善を認める。

(4)  mood disorder
抑うつ

[所見]
(1)  血液検査
WBC上昇・炎症性貧血・Plt/ESR/CRP/ALP上昇・Alb低下
  CK上昇があればPMRではない。

(2)  FDG-PET/CT
滑膜包炎の検出
腰椎突起・坐骨結節・大転子の周囲のFDG集積は感度85.7%,特異度88.2%

[鑑別]
Seronegative RA
菌血症:ステロイド投与前に血液培養は必須である。
MDS

[診断基準]
(1)  PMR score
必須条件:50歳以上・両肩の疼痛・CRP and/or ESR亢進
  朝のこわばり 2pts
  臀部の疼痛または可動制限 1pt
  RF陰性orCCP抗体陰性 2pts
  他の関節症状なし 1pt

(2)  関節エコー
三角筋下の滑液包炎・上腕二頭筋の腱鞘炎・肩関節の滑膜炎のいづれか
and/or
股関節の滑膜炎・大腿転子の滑液包炎のいづれか

(3)  関節エコー
両肩三角筋下の滑液包炎・上腕二頭筋腱鞘炎・上腕転子部の滑膜炎のいづれか

PMR score単独で4pts以上または(1)~(3)5pts以上でPMRと診断する。

[合併症]
(1)側頭動脈炎(temporal arteritis/TA)
TA50%PMRを合併する。
PMR20%TAを合併する。
PMRFDG-PET/CTextracranial large vessel vasculitisを認める事がある。

(2)悪性腫瘍
しばしば悪性腫瘍を合併することがあるが、malignancy surveyが必須であるという合意はない。

[治療]
PSL 15mg/dayCRP0となったら漸減する。基本的には単週性。
疼痛緩和のみが治療目的であり除外診断まで治療は急がない。



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