[A3] 低ナトリウム血症
【低Na血症】
血清Na<135mEq/L
<125で臨床症状が出現。
<115で生命の危機。
症状:脳浮腫による神経症状。軽度だと認知機能の低下など。
[原因]
①
細胞外液過剰:LC, HF, RF, ネフローゼなど → 水・Na制限、利尿薬
②
細胞外液正常:SIADH, 水中毒, 甲状腺機能低下, 副腎不全 → 水制限
③
Na喪失:利尿薬、腎機能障害、低アルドステロン症 → Na補充
*頻度別
SIADH 36%(悪性腫瘍・肺炎・嘔吐・薬剤・陽圧換気・特発性)
心不全 19%
Low intake 16%
消化管からの喪失 10%
利尿薬 8%
膵炎 5%
肝硬変 5%
[鑑別]
(1) 血漿浸透圧:S-osm>280なら偽性低ナトリウム血症を考える。
*偽性低ナトリウム血症:高血糖・グリセオール・高TG・高TP
(2) 尿浸透圧:U-osm<100なら多飲or reset osmostat
* reset osmostat:低栄養や利尿薬長期投与患者でADHやや過剰。Na125-135。
(3) 甲状腺機能低下症と副腎不全のr/o
(4) 尿Na: U-Na>40mEq/LならSIADH,
U-Na<20mEq/Lで脱水ならlow intake,溢水ならHFやLC
*SIADHの原因は頭蓋内病変、胸腔内病変、薬剤を考える。
薬剤は抗精神病薬、抗てんかん薬、抗鬱薬、抗がん剤が挙げられる。
[急性期の治療]
3%NaCl 150mlを20分かけてiv
5mEq以上上昇したら、10mEq/day上昇まで輸液
* 橋中心髄鞘崩壊症候群に注意
* L/Dよりも症状改善をターゲットに治療
* Adrgue-Madias式
輸液1L投与後のΔNa=[(輸液中のNa+K)-血清Na]/(総体液量+1L)
* 血清Na変化予測式
尿Na+K>血清Na →自由水の排泄障害があり、低Naは進行する。
尿Na+K<血清Na →自由水の排泄障害がなく、低Naは改善する。
[SIADH]
診断基準
1.主症候
(1) 脱水の所見を認めない。
(2) 低ナトリウム血症の症状を呈することがある。
2.検査所見
(1)血清Na<135mEq/L
(2)血清バソプレシン測定感度以上
(3)血漿浸透圧<280mOsm/kg
(4)尿浸透圧>300 mOsm/kg
(5)尿Na>20mEq/L
(6)血清Cre<1.2mg/dl
(7)副腎皮質機能正常:早朝空腹時のコルチゾール>6μg/dl
上記全てを満たした場合確実である。
治療:原疾患の治療
水制限(15ml/kg), 塩分負荷(200mEq/day)
モザバプタン(V2受容体拮抗薬)30mg 1T1x 3-7days
デメクロサイクリン 600-1200mg/day