[A7, B6] 頸動脈エコー

【頸動脈エコー】
[体位]
仰臥位、顎を軽く上げ、顔は検査する側と反対側を向く。

[観察血管]
両側総頸動脈・内頸動脈起始部・内頸動脈・椎骨動脈を短軸/長軸で観察。

[撮影条件]
B mode : IMC観察
カラードプラ:血流方向
パワードプラ:狭窄部位の診断
パルスドプラ:流速を測定

[撮影方法]
1.      axial view (短軸像)
CCAICAと尾側から頭側に向かって観察する。
解剖学的に前方に外頸動脈、後方に内頸動脈が走行する。
頸動脈洞より頭側では左側に外頸動脈、右側に内頸動脈が描出される。

2.      longitude view (長軸像)
日本脳神経超音波学会では画面右側が末梢側(頭側)となる事を推奨。
内頸動脈は胸鎖乳突筋(SCM)の後方を走行している。
  内頸動脈と外頸動脈の見分け方
  内頸動脈は後方で体深部に向かって走行する。
  拡張末期の血流速度は内頸動脈の方が早い
  血管径は内頸動脈の方が太い。
  外頸動脈は分枝(上甲状腺動脈)がある。

  IMTの測定
外膜:外側の高エコー域
内中膜複合体(IMC):エコーでは内膜と中膜の区別が困難。IMCとして観察。
遠位壁のIMCの厚さ(IMT)を測定し、1.0mm以下を正常とする。

(1)血管径の測定
外膜は含まない。
収縮期と拡張期で若干異なるが有意差なし。

(2)血流速度の測定
パルスドプラで測定する。
パルス信号(=)は血管に対して60度以内になるようにする。
サンプル幅(=)は血管径の2/3以上でとる。
PS (peak systolic flow velocity): 収縮期最高血流速度
ED(end-diastolic flow velocity): 拡張末期血流速度
TA max (time averaged maximum velocity): 平均血流速度

ED ratio: ED(早い方) / ED(遅い方)
                 総頸動脈のED ratio >1.4であればその末梢側の狭窄を疑う。
                 遅い方が病側。
                 内頸動脈のED ratio1.4以下ならば末梢狭窄の可能性は低い。
PI(pulsatility index): 拍動係数
                                収縮期血流速度と拡張期血流速度の比率。血管拍動性の指標。
末梢に狭窄があると血管抵抗上昇により拡張期血流速度低下。
                                PIは上昇する。
 

(3)プラークの評価
プラークとは、IMT1.1mm以上あって突出してるもの。

①輝度
高輝度(hyperehoic):音響陰影を伴うことが多い。石灰化。
等輝度(isoechoic):繊維化。
低輝度(hypoechoic):プラーク内出血または脂質。
②表面の性状
平滑
不整:2mm未満の陥没
潰瘍形成:2mm以上の陥没
③輝度分布
均一(homogeneous)
不均一(heterogeneous):粥腫病変
④可動性

  低輝度, 潰瘍形成, 不均一, 可動性 がatherosclerosisのリスクとなる。
  高輝度プラーク:石灰化のため描出困難。

(4)狭窄率
狭窄率の測定方法にはNASCET,ECSTがある。
脳卒中領域ではNASCETが一般的。
NASCET
(C-A)/C x100

ECST
(B-A)/B x100



両者ともに5069%の狭窄ではやや手術が有効
70%以上の狭窄では確実に手術が有効となる。

[流れ]
1.    総頸動脈
短軸像で血管径及びfar wall IMTを測定する。
長軸像で血管径、far wall IMTに加え血流速度を測定する。
血管径の収縮期・拡張期径差はARで拡大する。
CCA = 7.0±0.9mmを正常範囲とする。 
CCA > 10mmを総頸動脈拡張と診断する。


2.    内頸動脈


3.椎骨動脈
椎骨動脈は総頸動脈の後方で、椎骨横突起間を通る。
総頸動脈が見えた位置から後方にプローブをずらす。
胸鎖乳突筋の後方からアプローチする方法もある。
椎骨動脈の観察はC4(頸動脈洞部あたり)C6で行う。

*逆行性血流を認める場合
→鎖骨下動脈盗血症候群(subclavian steal phenomenon)を疑う。

  血管系が広いにもかかわらず、平均血流速度<18cm/sec以下

PIPC end(先天的な椎骨動脈形成不全) or 狭窄を疑う。

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