[B6] 不随意運動

【不随意運動】
1.      筋束の不随意運動
2.      個々の筋の不随意運動
3.      四肢・体幹の不随意運動


1.      筋束の不随意運動
→線維束性攣縮(fasciculation, ミオキニア(myokymia)
(1)線維束性攣縮
筋束の不規則なピクピクした動き。
随意的筋収縮後に筋を弛緩させたり、軽く叩くと誘発される。
下位運動ニューロンの障害により生じる。

(2)ミオキニア
fasciculationと比較するとやや粗大な筋表面のさざ波の様な運動。
末梢神経障害が原因とされる。
多巣性運動ニューロパチー、多発性硬化症、radiation plexopathyなど。

2.      個々の筋の不随意運動
(1)律動性:振戦(tremor)
   Resting Tremor
主にParkinson’s disease4-6Hzの左右非対称な振戦。
Pill-rolling tremorが特徴。

   Action tremor
随意運動に伴って生じる振戦。
小脳失調、脳血管障害、MS、脳炎などで生じる。

   Postural tremor
8-12Hzの上肢を橋上した時などに見られる振戦。
原因は本態性振戦、生理的振戦、末梢神経障害、肝性脳症、甲状腺機能亢進症低血糖など。

(2)非律動性:ミオクローヌス(myoclonus), チック(tic)
突発性で持続時間の短い、不規則な不随意運動
入眠時などに見られるびくっとした動き。
大きく「皮質性」「脳幹性」「脊髄性」に分けられる。
   皮質性:刺激や随意運動により増強。Epilepsyを伴うこともある。
   脳幹性:全身性の単収縮が同期性に生じる。代謝性脳症など。
   脊髄性:律動性で睡眠時も持続。脊髄腫瘍や脊髄炎、MN障害など。

3.      四肢・体幹の不随意運動
(1)規則的
→バリズム(ballism)
主に1側の上肢または下肢を数秒に1回投げ出すような運動。
原因の大部分は血管障害。
責任病変は視床下核〜淡蒼球

(2)非規則的
   舞踏運動(chorea)
なめらかで不規則な四肢の運動。
精神緊張により増強し、睡眠で消失する。
原因は変性疾患(Huntington舞踏病)、代謝性疾患、薬剤性など様々。
尾状核・被殻の細胞減少によるGABA低下が原因と考えられている。

   ジスキネジア(dyskinesia)
chorea, dystonia, tremor, ballism, athetosis, myoclonusなどの不随意運動の複合。Parkinson’s diseasepeak dose dyskinesiadiphasic dyskinesiaなど

   アテトーゼ(athetosis)
四肢遠位部優位に見られる持続時間の長い肢をねじるような運動。
脳性麻痺や低酸素脳症、核黄疸などが原因。
責任病変は被殻・尾状核・被殻外側

   ジストニア (dystonia)
体の一部または全身に持続性の筋収縮を来す。
姿勢異常や捻転、反復運動などを生じる。
原因は脳症、脳血管障害、薬剤性、遺伝性、代謝性など様々。
ドパミン過剰による直接路の異常興奮が原因と考えられている。


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