[A5] 救急 呼吸管理
【呼吸管理】
1)
血ガスの評価
* PaCO2が高ければ2型呼吸不全* PaO2が低ければ呼吸不全
* Lactateが高ければ抹消虚血を示唆する(嫌気性呼吸)
2)
P/F ratio
PaO2/FiO2
正常値 480 (PaO2: 100, FiO2 0.21で計算)
<300: ALI
<200: ARDS
*ただし、PEEPは考慮していないのでPEEPが高い方が酸素化障害+
・ FiO2の求め
3) PEEP
呼気終末時の気道内圧を大気圧よりも高く保つ
→拡散障害の改善、虚脱した肺胞の細膨張、肺胞虚脱の予防
*ARDS clinical network推奨設定
*静脈還流量は下がるので頭部挙上30度は忘れずに
4)
NIPPV (Non-intensive positive
pressure ventilation)
非侵襲的陽圧換気療法
適応:COPD, 急性心原性肺水腫、気管支喘息
・ モード
①
S/T BIPAP mode
呼気相と吸気相で異なる圧をかける。
吸気相では圧をあげて吸気もサポート
PEEP+PS
→高炭酸ガス血症伴う呼吸不全
まずはPEEP(EPAP)を設定
IPAP-EPAP=PSとなるので適したIPAPを設定
*BiPAPは商品名なので注意
②
CPAP mode:
吸気相と呼気相で一定の圧をかける
PEEP 5くらいからスタート
→高炭酸ガス血症を伴わない呼吸不全
*呼吸器設定後1時間くらいで再評価を行う
5)
IPPV (intensive positive
pressure ventilation)
侵襲的陽圧換気療法:気管内挿管
適応:酸素化の改善、換気改善、自発呼吸の停止、全身麻酔
・ モード
①
A/C (assist control)
②
SIMV (Synchronized Intermittent
Mandatory Ventilation)
③
CPAP (Continuous Positive
Airway Pressure)
*呼吸器モードまとめ
*PSを追加すると自発呼吸の吸気時に圧補助を行う。
・ 換気様式
①
VC (Volume control)
②
PC (pressure control)
いずれにせよBWx10 mlのVCになるように調節。
・ 人工呼吸器関連肺炎 (VAP)
人工呼吸器使用後48時間以降に発症した肺炎
6)
シベレスタットナトリウム(エラスポール®)
→好中球エラスターゼ阻害薬
ALI/ARDSでは肺胞内で好中球がエラスターゼを分泌し血管透過性亢進
適応: 適応基準を満たす患者。
→急性期(発症3日以内)のSIRSでALI/ARDSをきたしている。
投与量: 5mg/kg を250mlに溶解し、24時間かけてDIV。14日以内。
→ 5%Glu 250ml + エラスポール 1A (250mg) 24hrs 14days
・シベレスタットナトリウム適応基準
A.
SIRS診断基準(2項目以上)
①
BT >38度or <36度
②
HR >90
③
RR >20 or PaCO2 <32mmHg
④
WBC >12000 or <4000
B.
急性肺障害の診断基準(全て満たす)
①
P/F ratio <300
②
BX-p で両側浸潤影
③
左房圧上昇所見なし(非心原性である。)
7)
ウィーニング
人工呼吸器からの離脱
①
ウィーニング開始基準
・ 呼吸状態安定:自発呼吸+
・ 鎮静が最小限、意識がある
・ 呼吸中枢、呼吸筋に異常なし
・ 循環動態安定
②
ウィーニング開始指標
A.酸素化 P/F ratio >200 or PaO2 >60
B.換気 VC > 10xBW ml, RR < 20,
RSBI < 100
C.循環 Hb > 8.0mg/dl
D.意識 GCS > 11points
E.体温 BT < 38℃
*RSBI: rapid shallow breathing index: RR/1回換気量
③
ウィーニング方法
CPAP+PS modeで離脱するのが一般的
FiO2, PEEP, PSを徐々に下げる(FiO2は0.1ずつPEEP, PS2cmH2Oずつ)
→FiO2 0.3, PEEP 5cmH2O, PS 5cmH2Oで2時間経過観察し抜管
8)
抜管
抜管後喉頭浮腫の予防でステロイド投与
投与推奨:女性、外傷患者、大口径の気管チューブの使用、長期のICU滞在
検査:カフリークテスト
カフを入れた状態の1回換気量 – カフを抜いた状態の1回換気量<110ml
→陽性:ステロイド予防投与が必要
投与量:
mPSL (ソルメドロール®) 20mg 抜管12時間前にIV
以後4時間毎に20mg 合計4回iv