[A7] 画像診断 その他の頭部画像診断

1.      感染症
初期:所見はほとんど無い
進行期:軟膜・クモ膜の肥厚
                造影MRI T1WI/FLAIRで脳溝に沿った造影効果。

  大脳辺縁系に異常を認めた場合にはヘルペス脳炎を疑う
→大脳辺縁系を中心に、T2WI, FLAIRで高信号
 DWIでは高信号を示す例と示さない例がある。
 CTでの読影は困難。


2.      感染後脳症
感染後数時間〜数週間後に急激な経過で意識障害やけいれんなどを呈する。

壊死・浮腫・変性を中心とした変化でT1WI, FLAIR, DWIの感度が高い。

ADEM, Reye症候群, HUS, HSESなどが含まれる。

1)      Reye症候群
肝機能障害を伴い、アンモニアが上昇する急性脳症
肝の脂肪変性・ミトコンドリア変性を主症状とする。
MRI
大脳半球の広範な浮腫・主張。 T2WIで高信号を示す。
2)      急性散在性脳脊髄炎(ADEM)
感染を契機として発症する脱髄性疾患
先行感染後に数日〜数週間の経過で脳脊髄に多発性の脱髄を来す疾患。
小児〜成人に様々な神経症状を来す。
しばしば両側性の視神系症状を認める。

MRI
白質を中心にびまん性、非対称性に多発する大小様々なT2, FLAIR高信号
DWIでは高信号を認めない

3)      出血性ショック脳症症候群(HSES)
非特異的な大脳半球のびまん性の浮腫を認める。

3.      脱髄性疾患
・多発性硬化症(MS
脳脊髄にびまん性の脱髄を来す。
視神経・側脳室周囲白質・脳梁・脳幹・脊髄に好発する。
罹患部位により様々な巣症状を来す。

MRI
T2/FLAIR:多発する高信号の卵円形領域
DWI:高〜等信号の領域

側脳室周囲白質病変は側脳室から垂直に外則に伸びるような形をする。


4.      脳症
1)      Wernicke脳症
Vitamin B1の不足により急性の意識障害・外眼筋麻痺・小脳失調を来す。

MRI
T2WI/FLAIR: 中脳水道周囲・乳頭体・視床内側に対称性の高信号域
DWIでもしばしば高信号(細胞性浮腫を表す)


2)      可逆性白質脳症(PRES)
高血圧・薬剤を契機に椎骨脳底動脈支配領域中心に可逆性の白質病変を来す。
病態の首座は血管外浮腫と考えられている。

MRI
T2/FLAIR: 後頭葉中心に皮質下白質、皮質で高信号
DWI:細胞外浮腫を反映して等〜低信号
  病変は脳幹・小脳・内頚動脈領域・基底核に多発することもある

3)      浸透圧性脳症
Naの急激な変化により髄鞘が崩壊する疾患。
  橋が中心→橋中心髄鞘崩壊症候群(CPM
  橋以外中心→橋外髄鞘崩壊症候群(EPM)

MRI
T2/FLAIR: 橋を中心に左右対称性の高信号域

4)      低酸素脳症
酸素消費量の多い海馬・基底核・視床・大脳皮質(灰白質)が障害される。

CT
急性期にはびまん性の脳浮腫・皮質の低信号

MRI
DWIで両側基底核・視床・皮質に高信号
亜急性期にはT2/FLAIRで両側基底核・視床・皮質に高信号

5.      プリオン病
異常プリオンが脳内に沈着する疾患。
散在性のCreutzfeldt-Jakob病が最も多い(80-90%)。

基底核・大脳皮質に好発する。

MRI
早期:    T2WI/FLAIRで基底核・大脳皮質に高信号域
                DWIでは移動性の病変を見る

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