[A7] 画像診断 その他血管障害の画像診断

[その他脳血管障害の画像診断]
1.      もやもや病
両側内頚動脈の終末部から前・中大脳動脈の近位部に狭窄・閉塞を生じ、脳底部に側副路としてもやもや血管が生じる原因不明の疾患。

10歳以下の小児期と30-40歳の成人期に二峰性のピークがある。
小児ではTIA・脳梗塞で発症する。過呼吸で誘発される。
成人では約半数が頭蓋内出血で発症する。

CT
CTでは特異的な所見なし。
小児・リスクのない若年のstrokeCTで所見なくてもMRI/MRAを行う。

MRI/MRA
T1WIで脳底部ACA/MCA近位部のflow voidが認められない。
脳底槽や基底核ではもやもや血管が点状のflow voidとして認められる。

MRAでは内頚動脈終末部やACA/MCA近位部に狭窄や閉塞を認める。
脳底部にもやもや血管を反映する異常血管影を認める。

【脳血管造影】
内頚動脈終末部やACA/MCA近位部に狭窄や閉塞を認める。
脳底部にもやもや血管を反映する異常血管影を認める。

1期(Carotid fork狭小期):頭蓋内の内頚動脈の末梢部狭窄のみ
2期(もやもや初発期):脳底部のみにもやもや血管をわずかに認める
3期(もやもや増勢期):脳底部にもやもや血管を認めACA,MCA描出不良
4期(もやもや細微期):もやもや血管が細小化
5期(もやもや縮小期):ICA系の描出が消失
6期(もやもや消失期):もやもや血管は完全消失。VAのみの循環となる



2.      脳動静脈奇形
先天性疾患
臨床症状発症は20-40歳ごろが多い
脳出血・てんかんを初発症状とすることが多い

Spetzler-Martin分類

1-2pointsope適応

CT
脳実質と等吸収の拡張・蛇行した血管様構造を認める
造影剤投与で著名な増強効果を認める
小児・リスクのない若年のstrokeCTで所見なくてもMRI/MRAを行う。

MRI/MRA
T1/T2ともにflow voidによる無信号領域が集簇した所見
MRAでは流入動脈・ナイダス・流出動脈が描出

【脳血管造影】
脳血管造影で確定診断を行う



3.      海綿状血管腫
拡張した血管の集合体

腔内には様々な時期の血腫を含み、血栓や石灰化を認める。
周囲にはヘモジデリン沈着を認める。

出血・けいれんで発症する。

CT
CTでは特異的な所見なし。
小児・リスクのない若年のstrokeCTで所見なくてもMRI/MRAを行う。

MRI/MRA
鑑別にはMRIが有用
様々な時期の血腫を反映して高信号と低信号の混在するポップコーン様病変
T2*で周囲に明瞭なヘモジデリン沈着を認める
小さな病変ではT2*で点状の低信号域が散在

【脳血管造影】
殆どの場合脳血管造影で異常所見を認めず、血管造影は必要ない




4.      静脈性血管腫(静脈奇形)
拡張した髄質静脈の集合
殆どが無症状

CT
軽度高吸収な線状影or点状影
造影CTでは造影効果の強い線状影/点状影とそれに流入する多数の血管

MRI/MRA
flow voidや高信号として描出
造影T1WIで強く造影される

【脳血管造影】
MRIで診断可能であり血管造影は不要




5.      内頚動脈海綿静脈洞瘻
外傷により、内頚動脈が損傷し、海綿静脈洞に流入する。

外傷後に眼球結膜充血・眼窩部血管雑音・拍動性眼球突出・視力低下・複視
などの症状を認めた場合、本症を疑う。

受傷後1週間〜1ヶ月後に生じることが多い。

CT
海綿静脈洞の拡大を認める

MRI/MRA
内頚動脈周囲の海綿静脈洞部にflow voidを認める

【脳血管造影】
内頚動脈海綿静脈洞部から海綿静脈洞が同時に描出される




6.      脳動脈解離
原因としては外傷が多い。
頭蓋外では頸部頚動脈に多い。
頭蓋内では椎骨脳底動脈に多い。
Wallenbergをきたしやすい

CTでは判断困難なケースが多く、血管造影を行う。

7.      静脈洞血栓症
血栓や狭窄により静脈還流障害が生じ、静脈圧が上昇する。
臨床症状は様々

造影CTで血栓は造影されず、周囲の静脈内のみが造影される。
上司上静脈洞で生じた場合、empty delta sign


非典型的な脳出血を認めた場合本症を考慮する。

診断にはMRVや脳血管造影を行う。

  まとめ




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